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国境から始まる工業革命 ―転生エンジニア領地開発記―  作者:


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見えない可能性

念の為に、まきちゃんにも連絡はしといた。

外出中だったから、文官さんに伝言していたから話は耳に入るだろ。


私は机の上に置かれた電話機を見ながら、小さく息を吐いた。


「しっかし……」


頭の中には、さっき見たギルドの装置が浮かんでいる。


非接触カード。あの箱。あの音。


ピッ。


私は椅子にもたれかかる。


「こんな物がこの世界に?」


正直、驚いた。


今まで私は、この世界の技術水準をある程度把握したつもりでいた。


鉄。蒸気。魔法。農業。


「まだまだ知らない物がありそう」


世界は広い。私達が知らない場所。

知らない文明。


私は指で机を叩いた。


「でもたまたまか」


そして、ふと考える。


「私達以外にも転生者が居た」


もしくは――「居る。前提。」

私は小さく呟く。

勿論、私達もその一人だ。

だがもし、同じ様な人間が他にもいるとしたら。


私は椅子から体を起こした。


「これは頭の片隅に入れておかないとかなり危険!」


間違いない。転生者の知識。

それは便利な道具だ。


だが同時に――


「転生者の能力によっては敵になったら、、、かなり不味い」


私は目を細める。

技術。知識。

もしそれを軍事だけに使ったら。


「もしくは、無理矢理にでも従わせられていても」


王。貴族。権力者。


知識のある人間を、利用しようとする者は必ずいる。


私は小さく息を吐く。


「使い方によって技術は良くも悪くもなる」


それは前世でも同じだった。


原子力。火薬。機械。


便利な物は、必ず武器にもなる。

私は窓の外を見る。


この村。鉱山。工場。鉄道。通信。


私達がやっている事は、戦争の準備ではない。


「私達は、今基本中の基本の基盤作りを全力でやっている」


インフラ。生活。物流。


つまり――


「この世界、、いや。領地改造に近い事を」


だがもし。私は目を閉じる。

もし他の場所で。


「能力と軍事だけ振った政策をしていたら、、」


戦車。銃。爆薬。


そんな物ばかり作る転生者がいたら。


私は首を振った。


「考え過ぎか?」


静かな部屋。

チッチッチッっと時計の音だけが響く。


ん?この時計もそうだ。私は見慣れて、何とも思って居なかったが。これは誰が開発した?いつからこの世界にある?他に私は何か見落として居る?


私は深く息を吐いた。


「ふぅ〜。考え過ぎか?」


……いや。私はゆっくりと目を開く。


「いや。考えておくのは重要だ」


備え。可能性。知らない脅威。


私は机の上の地図を見る。

この世界は広い。


「頭の片隅に入れて置かないと」


私は静かに呟く。


「足元を掬われるかも」


そして私はペンを手に取った。

やるべき事は、まだ山ほどある。

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