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国境から始まる工業革命 ―転生エンジニア領地開発記―  作者:


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貫通の先を見据えて

拠点の広場には、再び荷馬車が並んでいた。

私は少し離れた場所から、その列を眺める。


「……二十三台」


文官が帳簿を確認しながら答える。


「はい。鉄鉱石輸送部隊、第二陣です」


私は頷いた。

最初の隊が戻ってきた後、荷車の状態を確認した。


その結果――数台は修理行き。


車輪の歪み。軸の摩耗。荷重の影響。

山道を往復すれば当然こうなる。


私は肩をすくめる。


「まあ仕方ないわね」


文官も頷いた。


「整備に回しています」


結果として。今回の隊列は――二十三台。

最初より少し減ったが、それでも十分な数だ。私は腕を組んで荷車を見渡した。


「これでまきちゃんが希望していた量はクリアね」


文官が帳簿を閉じる。


「はい。完全に達成しています」


荷馬車五十台分。

それを二回に分けて運んだ。

これで約束した量は届けたことになる。


私は軽く息を吐いた。


「一先ず、この輸送で最後の予定ね」


文官も頷く。


「トンネルが完成すれば状況は変わります」


私は山の方を見る。


そこには、掘り進められているトンネルの入口がある。

あれが貫通すれば輸送は一変する。

私は言った。


「トンネルさえ貫通すれば、山越えは終わり」


文官が頷く。


「その通りです」


私は地図を指さす。


「ここからここまで荷馬車でも数時間」


今は山を回り込むルート。

トンネルが通れば、直線で抜けられる。


距離も時間も半分以下。

私は満足そうに頷いた。


「物流革命ね」


問題もある。私は腕を組んだ。


「……空気」


文官が首を傾げる。


「空気?」


私はトンネルを指さす。


「長いでしょ?風通しが悪い」


今はまだ短いから問題ない。

貫通すればかなり長いトンネルになる。


人。馬。荷車。


全部が通ると私は言った。


「空調設備必要ね」


文官が驚く。


「空調ですか」


私は頷く。


「換気よ」


空気を動かし煙や粉塵を外へ出す。

私は呟いた。


「スキルで設計しとこう」


文官がメモを取る。


「了解しました」


そしてもう一つ。

私はトンネルの入口を見た。


岩肌。削った跡。

正直――かなり粗い。


私は苦笑した。


「手掘り感満載ね」


文官も同じ顔をする。


「ええ……」


仕方ない。重機などないし全部人力だ。

このままだと崩落の危険もある。


私は言った。


「コンクリで補強」


文官が頷く。


「必要ですね」


私は少し考える。

そして言った。


「ブロック工法」


文官が首を傾げる。


「ブロック?」


私は説明する。


「コンクリブロックを作りそれを並べて補強」


トンネルの壁を囲う。

アーチ状に積む。

私は指を鳴らした。


「これなら今から作り溜めできる」


文官の目が少し輝く。


「なるほど」


トンネル工事と並行して。

ブロックを製造。

貫通したら一気に施工。

私は満足そうに頷いた。


「いいわね」


遠くで荷車の準備が進んでいる。

御者が声を上げる。

馬がいななき、鉄鉱石が積み込まれる。

私はその様子を眺めながら言った。


「もう少しよ」


トンネル。鉱山。町。

全てが少しずつ形になっている。

そしてその先には――

山を抜ける新しい道が待っていた。

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