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国境から始まる工業革命 ―転生エンジニア領地開発記―  作者:


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山道の報告

あっという間に三日が経った。

私は机に肘をついて、書類を眺めながら小さくため息をついた。


「忙しいと時間が進むの早いわねー」


本当にそう思う。


朝は鉱山。

昼はトンネル。

夕方は村の整備。

夜は報告書。


ふと自分の手を見て思う。


「……伯爵令嬢とは?」


こんな生活だっただろうか。

もっとこう。

紅茶を飲みながら庭を散歩して――とか。

優雅な生活があるはずでは?


私は天井を見上げた。


「贅沢三昧は一体いつになるのよ……」


その時だった。

扉が勢いよく開く。


「お嬢様!」


文官が駆け込んできた。


「荷馬車隊戻りました!」


私は椅子から立ち上がる。


「もう?」


文官は少し息を整えてから言った。


「向こうに向かっている途中で魔物に襲われたそうです」


私は眉をひそめる。


「被害は?」


「荷馬車が一台。補修して進んだのですが、向こうで破棄したそうです」


私は腕を組んだ。


「一台駄目になったか」


少し考える。


「それ以外に損害は?」


文官は首を振った。


「無いようです」


私は頷く。


「それなら上出来ね」


山道輸送。魔物も出る。

無傷で帰る方が珍しい。


私は歩き出した。


「石炭でも見に行きますか」


拠点の広場に出ると、荷馬車隊が戻ってきていた。

御者達は疲れているが、表情は悪くない。

荷台には黒い塊が山のように積まれていた。


石炭だ。


私は手を振る。


「お疲れ様!」


御者の一人が頭を掻く。


「すみません。一台駄目にしちまいました」


私はすぐに言った。


「仕方ないわ!」


山道だ。魔物も出る。

それを考えればむしろ安い損害だ。

私は手を叩いた。


「さー!また出発の用意するから石炭降ろして、鉄鉱石積むのよ!」


御者が笑う。


「おう!」


周囲の男達も動き出す。

石炭を降ろす。荷台を空にする。

そして鉄鉱石を積み込む。


私は御者の横に立った。


「で?如何だった?」


御者は肩を回しながら言った。


「道が悪い」


まあそうだろうと私は頷く。

御者は続ける。


「目印の杭は刺したから、それを見て行ってくれ」


別の御者が答える。


「おうよ!」


私は少し感心した。

ほぉう。指示していないのに。

道に杭を打って目印を作る。

ちゃんと引き継ぎができるようにしている。


私は小さく笑った。


「やるじゃないの」


そして聞く。


「魔物は?」


御者が答える。


「行きはウルフ系、帰りはゴブリン」


私は頷く。まあ、その程度なら予想通り。

そして聞いた。


「空は?」


御者が首を振る。


「いや」


「出なかった」


私は頷く。


「成る程な」


……はぃ?空?


私は思わず振り返った。

御者が真面目な顔で言う。


「でも気をつけろよ」


「空の魔物はあぶねー奴らばっかだから」


別の男も頷く。


「あー解ってるさ」


「空の魔物は本当にあぶねーし厄介だ」


最初の御者が笑った。


「まあな」


そして軽く言った。


「ドラゴンが出たら諦めろよ!」


別の男が笑い返す。


「ドラゴンなんてたまにしかでねー!」


私は固まった。


……はぃ?今なんて言った?


「ドラゴン?」


そんなもんおるんかーい!

私は内心で叫んだ。

いやいやいや。ちょっと待て。

ドラゴン?あの空飛ぶやつ?

ファンタジーの王様?


私は頭を抱える。


……対空兵器いるじゃん。

私は小さく呟いた。


「ブレダM35 20mm機関砲……」


いや待て。対空なら――


「Da 90/53か?」


私は腕を組んで空を見上げた。

……作るか。

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