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国境から始まる工業革命 ―転生エンジニア領地開発記―  作者:


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湯の町計画

拠点の朝は、相変わらず忙しい。


資材の荷車が並び、人が行き交い、どこかで必ず金槌の音が響いている。


そんな中、私は届いた資材の前で腕を組んでいた。


「来たわね」


文官が頷く。


「はい。予定通り到着しました」


荷車に積まれているのは――


コンクリート。


この世界ではまだ珍しい建材だが、私の設計で少しずつ使い始めている。


私は荷車を指さした。


「よし」


「U字溝を作るわ」


文官が確認する。


「温泉排水ですね」


私は頷いた。


トンネル工事の途中で出た温泉。

最初は簡易排水で流していたが――

湯量が思ったより多い。

かなりの量が湧き出している。

私は腕を組んだ。


「正直、ちょっと不安なのよね」


排水が追いつかなくなれば、坑道が水浸しになる可能性もある。


だからこそちゃんとした排水設備を作る。


「U字溝を設置」


「温泉水は全部ここを通して流す」


文官がメモを取る。


「了解しました」


私は地図を広げた。

温泉地点。トンネル。そして村の位置。

私は笑った。


「ついでに」


文官を見る。


「温泉施設作り始めるわよ」


文官の眉が少し上がる。


「もうですか?」


私は肩をすくめる。


「どうせ湧いてるんだから」


使わない方がもったいない。

鉱夫達は毎日重労働。

身体も疲れる。


私は言った。


「身体も心もリフレッシュ」


文官が笑う。


「確かに」


私はさらに続けた。


「士気も上がる」


作業効率にも影響する。

温泉はただの贅沢ではない。

立派な労働環境改善だ。

私は図面を指さす。


「ここに浴場」


「ここに脱衣所」


「そのうち宿も作る」


文官は感心した様子で頷く。


「本当に町になりそうですね」


私は小さく笑った。


「その予定よ」


私は視線を山の方へ向ける。


そこには――巨大な土の山。

トンネル工事で出た土砂だ。

私は思わずため息をついた。


「……これよね」


文官も同じ顔をする。


「はい」


トンネルを掘れば、当然土が出る。

それはもう、かなりの量だ。


私は頭を掻いた。


「レンガ計画は中止」


燃料の問題で実行できなかった。

となると――土の使い道がない。


私は山を見上げる。


「一応、土砂崩れ対策はしてる」


斜面を整え、崩れないように補強もしている。


不安は消えない。私は腕を組む。


「この量……いつか問題になる気がするのよね」


文官も静かに頷く。


「確かに」


私はしばらく考えた。

そして小さく呟く。


「燃料か……」


レンガを焼く燃料、それさえあれば。

土は建材になる。


私はふと思い出す。


「……石炭」


文官が顔を上げる。


「隣の領地ですね」


私は頷いた。


「まきちゃんの所」


石炭鉱脈。もし輸入できれば――

燃料問題は一気に解決する。

私は顎に手を当てる。


「輸入できれば」


文官が慎重に言う。


「距離があります」


私は苦笑した。


「そうなのよ」


ここは山の中、トンネル街道もまだ未完成。

荷車輸送は簡単ではない。

私はぽつりと言った。


「荷馬車で山越え……」


文官は即答する。


「危険です」


私はすぐに頷いた。


「よね」


山道。盗賊。魔物。

石炭輸送には向かない。


私は大きく息を吐いた。


「うーん。簡単にはいかないわね」


私は遠くの山を見る。

トンネル。温泉。鉱山。


そして――土砂の山。


私は小さく笑った。


「まあ、一つずつ解決しましょうか」


この拠点はまだ発展途中。

問題はいくらでも出てくる。

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