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国境から始まる工業革命 ―転生エンジニア領地開発記―  作者:


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黄金の第一歩

静かな同盟。


その言葉通り、草原での会談は誰にも知られぬまま終わった。

しかし、決まった事は多い。


石炭。鉄鉱石。


そして――資金。


私は草原の小さな村を見渡した。

まだ名前すら無い、小さな村。

地下には鉱脈が眠っている。

鉄だけではない。


金。銀。希少金属。


私は腕を組んだ。


「さて」


まずはここを拠点にする。

それが最優先だった。


私は文官を呼ぶ。


「文官さん」


「はい」


「まず人手よね」


私は周囲の丘を見ながら言った。


「私の開発チームの三分の一をここに回して」


文官はすぐに頷く。


「了解しました」


私は続ける。


「それと開発チーム入り希望者、この村に移動させて新しい拠点にするわ」


文官はメモを取りながら答える。


「はい、わかりました」


だが、それだけでは足りない。


鉱山は専門職だ。

私は言った。


「それと」


文官が顔を上げる。


「お金は払うので」


「鉱夫を募集して」


文官はすぐ理解した。


「なるほど」


「鉱山開発ですね」


私は頷く。


「そう」


そして小さく笑う。


「手っ取り早いのは金と銀」


鉄は重要だが、すぐ金にはならない。

武具や機械に加工して初めて価値になる。


だが金銀は違う。

採れるだけで貨幣価値になる。


つまり――即金。


私は静かに言った。


「金と銀の鉱脈を掘る」


「精製、現金化」


文官は目を丸くした。


「資金調達ですか」


私は頷いた。


「軍資金よ」


今後の開発には金が必要だ。

設備。人員。研究。輸送。


全て金がいる。


それに――私は少しだけ考える。


「お父様への負担も減らさないとね」


今回の視察だけでも、かなりの人員が動いている。

領主の資金を使い続けるわけにはいかない。

自分達の拠点は自分達で稼ぐ。


それが理想だった。文官は真剣な顔で頷く。


「すぐに手配します!鉱夫の募集を」


「お願いします」


翌日。早速、数名の男達が村から集まった。

この村で鉱山に関わっている者もいる。


私は鉱山の入口に立った。


「さて」


坑道の奥へ進み例の場所。金銀鉱脈。

私は壁を指した。


「ここ」


鉱夫達が顔を見合わせる。


「ここですか?」


「ええ」


私は頷く。


「この岩の奥」


鉱夫達は壁を叩く。


コンコン。


音が変わる。一人が驚いた顔をする。


「……確かに空洞が近い」


私は笑った。


「でしょ?」


彼らはすぐに道具を持ち出した。


ツルハシ。ハンマー。鉄の杭。


そして採掘が始まる。


ガン。


ガン。


ガン。


岩を砕く音が坑道に響く。

私はその様子を見ながら、別の準備をしていた。


「さて」


私は紙を広げた。


設計図。鉱石精製装置。


この世界では、金銀の精製はかなり原始的だ。


溶かし叩き分離する。

時間がかかる。


だから私はスキルを使った。


「解析」


鉱石の構造。含有率。不純物。


全て表示される。

私はペンを走らせる。


炉。濾過器。沈殿槽。簡易精製装置。


この世界の技術でも作れる範囲。

これだけでも効率は大幅に上がる。


数時間後。


村の鍛冶屋に頼んで作らせた部品が届いた。

私はそれを組み立てる。


「よし」


簡易精製装置、完成。


ちょうどその頃。


坑道の奥から声が聞こえた。


「出たぞ!」


鉱夫の叫び。私は急いで奥へ向かった。

岩の奥。きらりと光る鉱石。

私はしゃがんで手に取る。


「解析」


結果が浮かぶ。金含有。銀含有。

私は小さく笑った。


「当たりね」


そして鉱夫達に言う。


「どんどん掘って精製はこっちでやる」


鉱夫達は力強く頷いた。

坑道に再びツルハシの音が響く。


ガン。


ガン。


ガン。


私は精製装置の前に立った。

鉱石を投入する。


炉が赤く燃える。


金。銀。


どれだけ取れるかは――鉱石の量次第。

私は腕を組んで笑った。


「さてどれだけ出るかしら」


そして小さく呟いた。


「どんどんやってみますか」

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