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国境から始まる工業革命 ―転生エンジニア領地開発記―  作者:


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再会の道

さあ――いよいよ今日会える。

私は専用馬車の中で、思わず足を揺らしていた。


「……ワクワクが止まらないわね」


昨日の信号弾。そして無線。

間違いない。

まきちゃんは近くまで来ている。


二十キロ。


馬車なら数時間。それだけの距離だ。

私は深呼吸をして、気持ちを落ち着かせた。

だが顔はどうしても笑ってしまう。


「まさかこの世界で会えるとはね」


さて――出発前にやることはやっておく。


私は村長と文官を呼んだ。


「一部の隊はここで待機」


文官が頷く。


「はい」


「それと村の改善計画」


私は簡単に指示を出す。

井戸の補強。倉庫の建設。道路の整備。

そして――鉱山拡張の準備。


「ここはその内、町になるわ」


村長がぽかんとした顔をしている。


「ま、町……?」


無理もない。今は小さな村。

鉄鉱石。金銀鉱脈。国境の物流拠点?

条件は揃っている。


私は笑った。


「その為の下準備よ」


村長はまだ半信半疑の顔だ。

まあ、今はピンと来ないだろう。

数年後に理解すればいい。


私は振り返った。


「さて」


馬車の御者に声をかける。


「出発」


「はっ!」


馬車が動き出す。護衛隊も整列。

私たちは村を後にした。


目的地は――まきちゃん。


草原の道を進む。風が気持ちいい。

空は晴れている。

私は窓から外を見ながら、思わず笑った。


「あと少しね」


それから約二時間。

護衛の一人が馬を走らせて戻ってきた。


「お嬢様!」


私は顔を上げる。


「なぁに?」


護衛は真剣な顔だった。


「前方に馬車隊!」


私は少し身を乗り出す。


「距離は?」


「およそ一キロ!」


護衛は続ける。


「相手も警戒態勢を取っています!」


当然だ。国境近く。

しかも馬車隊同士。

警戒しない方がおかしい。

護衛隊長が私を見た。


「指示を」


私は迷わず言った。


「こちらはそのままの隊形を維持」


護衛たちが一瞬驚く。


「進みなさい」


「え!?」


護衛が思わず声を出した。

私ははっきり言った。


「このまま進みなさい」


私は前方を見た。


遠く。かすかに馬車の影が見える。

そして静かに言った。


「あそこには」


私は笑った。


「私の親友が居ます」


護衛は一瞬言葉を失った。


「はっ……」


すぐに姿勢を正す。


「了解!」


隊列はそのまま進む。

護衛は警戒を解かない。

剣に手をかけたまま。

盾を構えたまま。当然だ。他国同士の接触。


普通なら緊張状態。一歩間違えば戦闘。

警戒しない方がおかしい。

だが私は違う。私は前方を見つめた。

胸が少し早くなる。


「いよいよね」


遠くの馬車隊が少しずつ大きくなる。

旗が見える。人影が見える。

私は小さく笑った。


「まきちゃん」


長かった。遠かった。

今。その距離はもう、ほとんどない。

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