表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
国境から始まる工業革命 ―転生エンジニア領地開発記―  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/122

合流計画

数十日が過ぎた頃。


ついに――私専用の馬車が完成した。

領主館の中庭に停められたそれを見て、私は思わず頷く。


「いいわね」


見た目は普通の荷馬車に近い。

だが中身は全く別物だ。

まず足回り。

私はしゃがみ込んで車輪周りを確認する。


「足回りもバッチリね」


改良した板バネ。強化された車軸。

衝撃吸収もかなり良い。

長距離移動を前提にした構造だ。


これなら数日単位の移動でも体はそこまで痛まないはず。


私はそのまま後部の扉を開けた。


「さて……内装はっと」


中へ入る。木の香りがまだ新しい。

内部は思った以上に広い。

左側には棚。

工具箱や資料を入れる場所。

右側には机。

測量図や設計図を書けるようになっている。


そして奥。


「おー」


私は小さく笑った。


「中々良いわね。この簡易ベット」


折り畳み式の寝台。下には収納箱。

揺れ対策の固定金具。

長旅でも十分眠れそうだ。

天井には小型ランプ。

蓄電池と配線も繋がっている。


さらに――無線機。移動用の異世界型。


「うん。完璧」


私は満足して頷いた。

あとは必要な物を積み込むだけ。


測量器具。地図。工具。部品。予備の電池。

食料。水。通信機材。


しばらくはここが拠点になる。

私は机の上に広げた地図を見る。

あれから、まきちゃんとも何度も話し合った。


そして決まった合流地点。

お互いの領地の中間付近。

三角測量の結果を基に計算した場所。


距離的には――


「恐らく二〜三日」


馬車での移動なら、それくらい。


ただし。


「そのまま一直線って訳じゃないのよね」


私は地図の街道を指でなぞる。


村。宿。補給地点。街道の状態確認。

せっかくの機会だ。


領内の村々も見て回る予定。


となると。


「もう少しかかるわね」


それは、まきちゃんも同じ。

向こうも街道を確認しながら来る予定だ。

私は地図の一点を丸で囲んだ。


「ここ」


国境に近い小さな村。

私はここを拠点にする予定。

村があれば宿もある。


井戸もある。食料もある。何より安全だ。


それに対して――


「まきちゃんの方は……」


私は地図を見ながら呟いた。

向こう側には、ほとんど何も無い。


森と丘。村も街道も少ない。


「大変そうね」


拠点を作るのも一苦労だろう。


まあ。まきちゃんなら何とかする気もするけど。私は通信計画を書いた紙を確認する。


到着後。通信ルール。

一時間ごとに無線機を起動。

呼びかけを行う。もし電波が届けば――


「二十キロ以内」


それくらいの距離に、お互いがいる。

そうなれば後は簡単。


方角を確認。地図を照合。

位置を細かく絞る。

測量器具もある。


「数キロまで詰めれば、あとは会える」


私は紙を畳んだ。


ついに直接会う。前世の友人。

この世界で唯一、同じ記憶を持つ相手。

私は馬車の窓から外を見た。


領主館の庭。いつも見ていた風景。

もうすぐここを離れる。私は小さく呟いた。


「さて」


準備は整った。専用馬車。

移動通信。測量地図。


後は――出発するだけだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ