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国境から始まる工業革命 ―転生エンジニア領地開発記―  作者:


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魔石の行き先

私は机の上に置かれた魔石を、じっと見つめていた。内部で揺らめく淡い光。

手に持つと、微かな温もりのような感覚。


解析。


視界に浮かぶ情報。


構造安定。


魔力蓄積性――高。

再充填可能。

地球類似概念――乾電池・蓄電池。


私は思わず息を呑んだ。


乾電池。蓄電池。


つまりこれは、魔力を貯めておける媒体。


この世界の生活を、一変させる可能性がある。


魔道具に安定供給に灯り、動力、魔法補助。

応用範囲は広い。

この世界の人々が、電気的発想で使うとは思えない。


となると――魔力増幅。魔法の連続発動。

長時間の戦闘支援。


……戦いの準備?


私は静かに魔石を机に置いた。

隣国が、質を問わず大量に買い集めている。

それは“数”が必要ということ。

数が必要な用途。

大規模で継続する為の消耗。


私は文官を呼んだ。


「この魔石の行き着く先を調べなさい」


彼は即座に一礼した。


「承知しました。商人経由で調べさせます」


市場。流通。倉庫。運搬路。

どこへ向かっているのか。


消費地はどこか。

軍需か。儀式か。実験か。情報が必要だ。


私はさらに続ける。


「それと、魔石自体を他領地から安く集められる?」


文官は一瞬、驚いた顔をした。


「それは可能ですが……買い集めるのですか?」


「そうよ」


私は椅子に背を預ける。


「買い集めて、高く売る」


市場は不足気味。

価格は上昇傾向。

供給を押さえれば、価格はさらに上がる。


「いま市場は不足しているのでしょう?」


「あー……成る程!」


文官の目が輝く。


「直ぐに動きます」


私は小さく頷いた。

ちょっとした賭けだ。

もし隣国が本気で魔石を必要としているなら。


需要は止まらない。

値上がり確定商品。

ならば先に押さえる。

他領地から買い集める。

そして欲しい場所へ、値段を乗せて売る。


この世界で言えば――

間接税、のようなものか。


戦争準備をしているなら、物資は必須。

ならばその流れを利用する。

私は静かに思う。


下手をすれば。


戦うための物資を流していることになる。


それで良いのか?

魔石が軍需なら。


私はその一端を担うことになる。


だが逆に流れを握っていれば、止めることも出来る。


価格を吊り上げることも供給を絞ることも。

市場を制する者は、戦を制する。

……少なくとも影響は与えられる。


私は魔石をもう一度手に取った。

小さな石。その価値は大きい。

これはただの石ではない。


流れだ。情報だ。


戦の前触れかもしれない。

私はゆっくりと息を吐いた。


だらだら生活のために始めた内政は、

いつの間にか、戦略になっている。


私はまだ戦場に立っていない。

盤上には立っている?

隣国が動くなら私は、流れを読む。


そして――流れを握る。

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