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国境から始まる工業革命 ―転生エンジニア領地開発記―  作者:


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任せる者、備える者

「やっと来た……」


私は思わず小さく呟いた。


領都からの馬車隊。

その中から降りてきた数名の男達。

落ち着いた目。無駄のない動き。


「警備隊指揮官クラス……ね」


これは当たりだ。

私は内心でガッツポーズを決めた。


「これで丸投げ出来る!」


顔には出さないけど。

すぐに応接の場を用意する。

机を挟んで座る。


「まず、この町の現状を説明するわね」


私は地図を広げた。


人口増加。

建設ラッシュ。

ギルド。

トラブル。


一通り説明する。

指揮官の一人が静かに頷いた。


「なるほど。急激な発展に対して、治安が追いついていないと」


「そういう事」


話が早い。私は腕を組んで言った。


「人員の募集は任せるわ。訓練も運用も」


指揮官達は顔を見合わせる。

そして。


「承知しました」


即答だった。私は小さく笑う。


「助かるわ」


専門家に任せる。

これが一番効率がいい。

私は椅子から立ち上がった。


「これで治安維持は、大丈夫そうね」


一つ、肩の荷が下りた。


そして――


「さて」


気持ちを切り替える。


「今日は試射よ」


場所は町の外れ。

簡易的に作った施設と言っても。


「防音の建物……」


私は周囲を見回す。


「コの字型に建物を建てただけ」


三方向を壁で囲む。

音を分散させる。

完全ではないが、何もないよりはマシだ。


私は銃を手に取る。


「三八式」


長い銃身。木製の銃床。ボルトを引く。


カチャリ。


装填。


狙いをつける。


「……よし」


引き金を引く。


パァン!


乾いた音が響いた。反動が肩に来るが制御できる範囲だ。

私はすぐに次の動作に移る。


ボルトを引く。

カチャ。

排莢。

装填。


「リロードも問題無く出来てる」


私は小さく頷いた。

もう一発。


パァン!


問題なし。精度も悪くない。

私は銃を下ろした。


「試射は成功だ」


周囲の技術者達もほっとした顔をしている。

問題はここからだ。

私は銃を見つめる。


「量産化」


簡単ではない。


精密加工。

部品精度。

組み立て。


全てが必要だ。


そして。


「警備隊に渡す方向かな?」


治安維持に使う。

それも一つの手だ。

私は少し考える。


「……いや」


すぐに首を振った。


「その前に量産化かな?」


まだ数がない。今渡しても意味が薄い。

私は腕を組む。


「中々悩むわね」


結論は出る。


「先ずは開発でゆっくりと生産するか」


焦らなくていい。


「備蓄備品として」


そして。


「弾も同じく少し作り始めるか」


銃だけあっても意味がない。

弾がなければただの棒だ。

私は銃を台に置いた。


「準備は整ってきたわね」


治安は指揮官へ。

武力は備蓄へ。

役割が分かれてきた。

私は空を見上げる。


「いい流れね」


この町は――強くなり始めていた。

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