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国境から始まる工業革命 ―転生エンジニア領地開発記―  作者:


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間に合わない時間

「指揮官クラス、数名を送る……か」


私は無線機の前で腕を組んだ。

便利だ!本当に便利。

領都と、ほぼ時間差なくやり取りが出来る。


「でも」


私は小さく息を吐く。


「こっちに来るには数週間は掛かる」


当たり前だ。物理的な距離は消えない。

通信がどれだけ早くても、人は歩くか乗るしかない。

私はスイッチを軽く叩いた。


「それまでは……」


答えは決まっている。


「ギルドに依頼継続ね」


冒険者による巡回。

即席の治安維持。

完璧ではないが、無いよりは遥かに良い。

私は椅子に座り直す。


「さて」


机の上には報告書が積まれている。

一枚ずつ確認をっと。


「レール敷設作業は順調」


予定通り。いや、予定以上に早い。

人手が増えた影響だろう。


「蒸気機関車の操縦、整備士も育成中」


これも問題なし最初は戸惑っていたが、徐々に慣れてきている。


蒸気機関は一度理解すれば応用が効く。


「ここまでは順調」


私は頷く。


一枚の報告書で手が止まる。


「……問題は住居建設ね」


紙を机に置く。仮設住宅。集合住宅。

急ピッチで進めているが――

追いついていない。


「クレーンやらトラック型が有るから」


私は窓の外を見る。

建築現場。

資材が運ばれ、組み上がっていく。

以前とは比べ物にならない速度だ。


「多少は早く建築が進むとは思うけど」


それでも人の流入の方が早い。

私は小さく眉をひそめた。


「……足りないわね」


供給と需要。

完全に需要が上回っている。

だが止める気はない。


私は別の書類を手に取る。


「それと」


とうもろこしの件。


人員は既に送った。

私は報告書を見て目を細める。


「……広いわね」


文官からの報告。

まきちゃん側の開墾規模。


「私が想像していたより更に広く開墾するらしい」


思わず苦笑する。


「本気ね」


これは小規模な農地じゃない。

完全に――産業規模。

私は椅子にもたれかかる。


「まきちゃんも甘い物は好きだからそうしたのかな?」


少し笑う。あの性格だ。

やるなら徹底的にやる。中途半端はしない。

私は天井を見上げた。


「まあいいや」


結論はシンプルだ。


「多ければ多い程沢山作れるからね」


甘味。

保存食。

加工品。


全てに繋がる。

私は机の上の書類をまとめた。


鉄道。

治安。

住居。

食料。


全部同時進行。


「……忙しいわね」


私は小さく笑った。


「でも止まらない」


この流れはもう誰にも止められない。

私は立ち上がった。


「次、行きましょうか」


村は今。拡張ではなく――膨張していた。

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