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国境から始まる工業革命 ―転生エンジニア領地開発記―  作者:


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暫定秩序

「……結論から言うわね」


私は机の前で腕を組んだ。


「ルールを作って、すぐ公開。徹底」


文官が頷く。


「はい」


ここ数日で起きたトラブル。


商人同士の揉め事。

盗難。

暴力。

原因は単純だった。


「単にルールが無いというより」


私は指で机を叩く。


「知らないってのも有る」


外から来た人間。

この村の決まりを知らない。

だから好きにやる。

結果、衝突する。


「なら」


私はきっぱりと言う。


「決まりを見える形にする」


掲示。

説明。

罰則。


全て明確に。

文官はすぐに書き留める。


「内容は?」


私は指を折りながら言う。


「取引ルール」


「暴力禁止」


「盗難は即罰」


「揉め事は仲裁に持ち込む」


簡単でいい。

まずは分かりやすさだ。


「そして周知」


文官が続ける。


「掲示板と、ギルド経由でも流します」


「いいわね」


冒険者にも伝わる。

それでかなり変わるはずだ。


私は少し考えてから言った。


「それと」


文官を見る。


「警備」


文官が少し驚いた顔をする。


「実は」


彼は苦笑した。


「領内には既に警備隊が存在しております」


私は一瞬止まる。


「……え?」


完全に盲点だった。


「居たの?」


「はい」


私は額に手を当てる。


「気にはして居なかったけど……」


完全に内政に振りすぎていた。

私はすぐに切り替える。


「なら話は早いわね」


既存があるなら使う。


「ここでも警備隊の育成に取り掛かる」


文官は頷いた。


「承知しました」


私はさらに続ける。


「領都から指揮官クラスを数名送って貰う」


経験者が必要だ。


「ここで新しく隊を作る」


文官はすぐに動く。


「連絡は無線機で行います」


私は頷いた。



「準備出来次第、送ってくれるそうです」


通信があるから早い。

これが強みだ。


問題は“今”だ。


「来るまでの間」


私は少し考える。

警備隊はまだ来ない。

だがトラブルは今起きている。


「ギルドに依頼する」


文官が顔を上げる。


「冒険者ですか?」


「ええ」


私は頷く。


「治安維持」


依頼として出す。


巡回。

抑止。


即効性がある。


「それで当面は持たせる」


文官は力強く答えた。


「承知しました」


一つずつ。穴を埋めていく。

そしてもう一つ。


私は地図を広げた。


「住居」


これも急務だ。


「急ピッチで建築」


文官がすぐに反応する。


「設計は?」


私は紙を取り出した。


「もうやった」


広げる。そこには単純な構造の建物。

長方形。区画分けされた部屋。


「マンションの様な建物」


文官が図面を見て呟く。


「……同じ部屋が並んでいますな」


私は笑う。


「規格統一。間取りも全部同じ」


無駄を省く。


「豆腐建物ね」


おしゃれ?そんなものはいらない。


「建築スピード優先」


文官は深く頷く。


「資材は?」


「ある物全部」


石。

レンガ。

木。


「とにかく数。資材は使える物全て」


私は図面を叩いた。


「住む場所を用意しないと」


人は流れ込んでくる。

止めない以上、受け皿が必要だ。


私は窓の外を見る。

人。荷物。声。

混ざり合う活気と混乱。


「……忙しいわね」


私は小さく笑った。


「でも嫌いじゃない」


秩序を作る。町を作る。


それは――


「面白いわ」


村は今。ただの寒村から。

一歩進もうとしていた。

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