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国境から始まる工業革命 ―転生エンジニア領地開発記―  作者:


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101/111

溢れ始めた村

最近、何かがおかしい。


私は執務室の窓から外を眺めながら、ぽつりと呟いた。


「……人、多くない?」


村の中央通り。


そこには以前では考えられない程の人の流れがあった。


荷物を背負った男。

武器を持った冒険者。

商人らしき一団。

そして、家族連れ。


「増えてるわよね……明らかに」


私は腕を組む。

ここは元々、小さな村だった。

鉱山があっても、せいぜい数百人規模。


それが今は――


「お嬢様」


後ろから声がした。

文官だ。私は振り返る。


「どうしたの?」


文官は少し言いづらそうな顔をしていた。


「……報告がございます」


嫌な予感しかしない。


「何?」


文官は紙を差し出した。


「現在の人口ですが」


私はそれを受け取り目を通す。


そして――


「……は?」


思わず声が出た。


「倍?」


文官は静かに頷く。


「はい。ここ数週間で倍近くに増加しております」


私はもう一度外を見る。


人。

人。

人。


「……早くない?」


これは異常だ。


いくら開発が進んでいるとはいえ、ここまで急激に増えるものか。


私は紙を机に置いた。


「理由は?」


文官はすぐに答える。


「複数ございます」


指を折りながら説明する。


「まず、鉱山です」


鉄鉱石。

石炭。


仕事がある。


「次に工場」


雇用がある。


「そして冒険者ギルド」


依頼がある。私は頷く。


「……まあ、来るわよね」


当然と言えば当然だ。

仕事がある場所には人が集まる。


「問題は」


私は窓の外を指した。


「受け皿よね」


文官も同じ方向を見る。


「はい」


村の家々。すでに人が溢れている。


「空き家は?」


「ほぼ埋まっております」


「宿屋は?」


「満室です」


私はこめかみを押さえた。


「……でしょうね」


さらに文官は続ける。


「一部では、勝手に小屋を建てている者も」


私は目を細めた。


「それ、場所は?」


「村の外縁部です」


……来た。私は深く息を吐く。


「スラム予備軍ね」


秩序が崩れる前兆。私は椅子に座り直す。


「このまま放置したら?」


文官は即答した。


「治安の悪化が予想されます」


「でしょうね」


人が増えれば、問題も増える。

それは当然だ。

私は机を軽く叩いた。


トントン。


「よし」


頭の中で整理する。


まずは――


「住む場所」


次に――「管理」

そして――「食料」


全部一気に来ている。

私は小さく笑った。


「忙しくなるわね」


文官は少し困った顔をしている。

私は立ち上がった。


「でも」


窓の外を見ると人の流れに活気。


「悪い事ばかりじゃない」


これは成長だ。


村が――変わろうとしている。

私は振り返った。


「文官さん」


「はい」


「区画整理と仮設住宅の準備」


即座に指示を出す。


「あと」


少し考えてから続ける。


「人の流入、止めないで」


文官が驚いた顔をする。


「よろしいのですか?」


私は笑った。


「ええ」


人が集まる。それは力になる。


「捌けばいいだけよ」


私はもう一度外を見た。

小さな村。


その器は――もう限界に近い。


「……町にするしかないわね」


この場所は変わり始めていた。

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