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 とうとう魔王vs勇者の戦いが始まる!



 らしいよ? 僕はまだそんな気分じゃないが、勇者さんたちはとうとう魔王城へ向かってきているらしい。

 

早く来るか一生来ないかの二択がいいな。


 そしてできれば一生来ないでほしい。


 どういうことかというと。

 前に勇者側と魔王側で全面戦争だぁ的な話があったでしょ? とうとう攻め込んでくるらしい。一応人間の兵士もくるらしいけど、正直いって勇者以外の敵側勝利の材料がない。魔族と人間じゃどう頑張っても人間側は勝てない。それこそ超人的な才能でもない限り無理だ。

 もちろん。僕じゃお城の下っ端にもやられてしまう。いや、クジラが師匠なだけあってそれはないか。

 先日魔王(ボス)の指示を聞いたんだけど、僕はどうやら混乱させ要員らしい。

 もともと小細工作りが趣味で手先も器用で何より人間の神聖術センサーに引っかからない僕には適任だ。

 スパイ行為も一考されたらしいけど、僕の性格じゃ途中で真面目さをゴミ箱に全力投球しておかしなことを始めるだろうと言われた。

 おかしなことってなんだよって聞いたら悪戯だって。



 確かにやらかす気がする。

 そもそも僕は人間だけど同族嫌悪的な感じで人間が嫌いなのだ。

 下手に僕にスパイを頼むと他の魔族にスパイを頼むよりも人間側の損害を酷い状況にして勇者側を煽りに行く。

 煽っているのは無意識なんだけど、だからこそどうしようもない。

 僕の付き添いは悪戯仲間達だ。

 コバくんを筆頭にコボルトが何匹かと諜報コウモリがほとんどを占めているが、僕の使い魔ブカバクもいるので威力はマシマシだ。

 そして何より今回の秘策、随分前の街中ファンシー化計画中に実行した、入ってきた勇者たちにかかる呪いがある。



 多分勝ち戦なんだけど、油断したら大事なものを失いそうなので全力で行く所存だ。



「というわけで、ファンシーをグレードアップさせてみた」



「アンタの全力がおかしな方向に向いていることは理解した」



 タツノオトシゴと僕は今急ピッチで町の建物の塗装をしている。

 カラフルにして損はない。

 そして飾りもつけている。ユニコーンの飾りとかファンシーじゃない?って住民に聞いたら、どこからか現れたバイコーンに追いかけられて危うくツノのサビにされそうだったのでバイコーンをできるだけデフォルメして可愛くしてオブジェを立てた。

 三角の旗が連なっている感じのぶらさげるやつをいろんなところに垂れ下げてきた。

 この世界にクリスマスがないのをいいことに真夏に季節感がなさすぎるクリスマスツリーを作った。

 町のシンボルの木は広葉樹だったけど、問題ないだろう。



 なんか前世の世界の人が見たらなんじゃこれと言いそうな町を作り上げた。



 作っているときはめっちゃ楽しかった。



 完成時になんだこれってなったけど。



 極め付けは可愛い子供ライオンとチーターを城内に放流した。とても可愛い。


 親ライオンと親チーターは城の中の一角で元気に喧嘩している。僕が混ざりに行くと巻き込まれるけどついでにもふもふできるのであまり気にしていない。



「みてみて、クジラ。このこたちも可愛いよ」



「そいつの子供は可愛いが、お前昨日半殺しにされてたよな。なんでそんな抱きしめていられるんだよ」



「可愛いしもふもふだし殺されてないからオーケーでしょ」



 クジラにため息をつかれて、昨日喰われかけた頭をガシガシ撫でられた。

 ねぇ、痛いんだけど、ねぇ。



「イルカは、猛獣も恐れないのか」


 クジラはこいつ実はシャチの群れくらいの度胸と強さを兼ね備えたイルカなんじゃないかと考え始めていた。





 実際はただの人間である。






後日、虎は料理されて夕食に出てきた。

なにやら、大量殺人をしてきてテンションがハイになっていたクジラが勢い余って殺してしまったらしい。

安全のため (虎を人間が食べていいかわからなかったから) に僕は食べなかったけど、どんな味だったのだろうか。今度聞いてみようと思う。


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