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お菓子ってどこの世界でも甘いよね。
僕は甘党だから、おやつよこせやぁってクジラにおねだりしにいくことが週に四回くらいあるんだけど、クジラは辛党だから、唐辛子を渡してくるんだ。
なんの嫌がらせ?
本人はそれがおやつみたいなものだったらしいから、なんの他意も無いみたいだけど、仕方ないからって貯めておいた唐辛子の束がとうとう五十を超えてきたんだ。
この数年、使い道に悩んだお菓子(ただの唐辛子)を今からクジラの夕飯に混ぜてこようと思います。
全部、全部だよ?
「と、いうわけだから、調理場に入れて欲しいな」
「じゃあ仕込んでおくから入るな」
調理長の魔族さんに追い出されかける僕。
あ、あれだろうか、ここからは俺の聖域だ的な……。
「いっとくけど、ここの調理場は魔王様のも作ってるからな。前のように異物を料理に混入されちゃまずいんだ」
「それなのに今から唐辛子を混入させるっ…と?」
「いや、それくらいならクジラにとっちゃごほーびだろう?」
衝撃の事実だった。
こういうところで人間と魔族の差が出る。人間だったら口の中が火傷程度じゃ済まない。
下手すれば胃の中までひどいことになりそうだ。
「あ、僕、今日の夕飯は砂糖漬けの豚肉が食べたい」
「なんだそのまずそうな食べ物」
意外と美味しい気がするんだけどな。
その日の夕飯はカレーだった。
唐辛子の巻き添えを食らった。
全治二日だ。ひどいと思う。
クジラはツヤツヤしていたから喜んでいたらしい。
まぁ、彼が元気ならいいか。
そういえば、その激辛というかマグマみたいなカレーが夕飯に出てきた時、僕と同じで顔色を悪くした人がいたな。
確かタツノオトシゴだ。
僕自身は関わりの少ない幹部だけど、カルガモととても仲が悪くてよく喧嘩している姿を見かける。
彼は意外にも甘党仲間なんだろうか。
試しに紅茶に砂糖の塊を飽和するくらい入れてみたら、怒られた。
このすぐに犯人を察知する能力は必ず魔族に搭載されているのだろうか。
僕が悪戯すると大抵すぐにバレるんだ。
ヘマをしたつもりはないのだけどなぁ。
「なぁ……イルカ。頼むから食事に何か混ぜるのはやめてくれ。頼むから」
二回も言わなくてもわかってるよ。
しばらくは、ね。
何回も同じ悪戯したら飽きられるもんね。
と思った矢先に濡れ衣を着せられた。
なんていうか、ほんと、濡れ衣なんだよ。
「あのー、クジラぁ僕何もしてない。今回に限っては無実」
なんか魔王の料理がまずかったらしい。
変な味がした、と魔王が証言した。
ボスは少しげんなりしている。
「だけどそんなマネするのはお前だけだろう?」
クジラはお怒りモードだ。
でも、ほんと違うんだよ。
「今日はタツくんに仕掛けたばっかりだし、そろそろ同じマネは飽きられると思うからやらないよ。だいたい僕がちょっと変な味で済ませると思ってるの?やるなら派手にやるよ」
だから冤罪だ。
そう主張すれば、妙な説得力があったらしい。
魔王は確かにと呟いているし、クジラも言われてみれば、と首を傾げている。
きわめつけは、研究班のこのセリフだった。
「これ、毒ですね。魔王様ほどの魔族ならあまり効果はありませんが。」
さては勇者か、勇者なのか。
なかなか外道なやつじゃないか、と感心していたらどうやら違った。
ただの人間の子供だった。
魔族に扮し、家族を殺された恨みを晴らすために復讐しに来たらしい。
子供にしてやられるとは魔王軍も落ちたものだよなぁ、と落胆したけど、この子供は使い道があるかもしれない。
「とりあえず君は、僕の管轄で牢屋にでも入っててもらうよ。」
実験体にするとは言わないから、絶望した顔をやめてほしい。
僕はそんなに怖い顔していないだろう。




