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「なぁ。イルカ、常識ってわかるか?」
「当たり前ってことでしょ?」
「じゃあ、この射程距離がありえない物理攻撃用武器は当たり前だってか?」
「魔法の方が遠距離でできるもん。これくらい常識の範囲内だよ」
やっほぉー、イルカさんだよ。
今クジラに説教されてる。いや、説教というよりも尋問とか言った方がいいのかもしれない。
なんでこうも上手くいかないんだろうか、僕はただ役に立つ道具を作ろうとしただけなのに。
ついでにいうなら僕はこんなのがあったらいいなぁと鍛冶屋さんに言っただけで実行犯じゃないのに。
全くひどいものである。
今日は晴れだった。
晴天の空には雲が一つもなく晴れ晴れとしている。
僕としてはこんな日は外で落とし穴でも掘っていたいのだけど、いかんせん仕事がある。
この前抜け出した時にカメやアシカに叱られたので多少は我慢するけども、遊びたいものは遊びたい。
そわそわしながら机と向き合い、書類の完成を目指しせかせか動く。
コバくんは僕の秘書か何かになる気らしくこれ次のですーって持ってくる。
待って、これ以上増やさないで。
ひと段落してから散歩に出かける。
罠の貼りやすそうなところ探索だ。
最近は悪戯仲間が増えてきて、僕自身が細々作らなくても問題なくなってしまった。
少しだけつまらない。だからもっと違うことをしようと思う。
そうだ、呪い改造研究をしよう。
僕は最近、勇者(を撃退する)為に魔術で呪いをかける罠を作っている。
病気みたいにする呪いもいいけど、敵が仲間に見える感じの呪いでも効果はあると思う。
僕としては僕の家族たちになんの被害もなければそれでいいんだ。
他の人なんてどうでもいい。
どうでもいい、イコール、どうなってもいい。
自室で開いた呪いについての魔術書を見ながら、改良していく。
普通は何ヶ月もかけて改良するんだけど、前世知識で計算が得意だった僕に不可能はない。
こんなのちょちょいのちょいで二週間くらいでできるぜ。
「イルカ様ーなにしてるんですのかー?」
最近敬語を覚えてきたらしいコバくんがぴょこりと机に立つ。
そこはステージじゃないんだよ。まぁ裸足だから構わないけど。
僕は今世は貴族生まれだが前世はバリバリの庶民である。そんなにマナーに厳しくない。
ただ見た目年齢が幼児じゃなくなってきているコバくんがそんな幼いことしているとは問題だと思う。
「コバくんにも常識を教えないとねぇ」
僕が呟いたら返答が来た。
独り言を聞かれていたらしい、そしてなぜだか僕の部屋にいつの間にか入ってきた人がいたらしい。
「君の常識は崩壊しているから、クジラに頼みなよ。イルカ」
「僕の常識のどこらへんが崩壊してるの、カメ」
カメだった。珍しく、僕に喋りかけに来たらしい。
本人曰くノックはしたそうな。
中から返答があるまで待とうよ、そしてもっと大きくノックしてよ。
「全部だよ、全部。あーそれで要件なんだけど」
話を聞く限り、そろそろ勇者が攻め込んでくるらしい。よく会うね勇者の関係者。僕ってば君の仲間とあってきたばっかりだよ。
本人もどうせハーレムエンドなイケメンくんなんだろ?駆逐対象だよこの野郎。
周りに美形ばっかりで僕はもう仮面でもかぶって生活したいね。
「あー、美形羨ましい」
「イルカ様もすてきですよー」
ありがとう、コバくん。
お世辞でも嬉しいな。
「知らぬは本人ばかりなりってか」
魔族並みに美形でイルカのファンって多いんだよ。
カメのセリフはコバンザメにしか届かなかった。




