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イルカさんはいま、爆発現場にいた!
デストロイして数秒後、町は無残にも爆破された。
あれ?設置したのは教会のはずなんだけど。
もしかしたら威力が強すぎたのかもしれない。
遠くに設置するだけならいいけど近くに味方がいたら巻き込まれそうなので、微調整が必要だね。
絶望を顔に描いたお姫様。
どうやら彼女は見た目どうり、脳内もお花畑だったらしい。
「どっ……どうして………」
その場に崩れ落ちて、嘆くお姫様に僕は淡々といった。
「ん? 僕って君の敵でしょう? 攻撃しないなんて誰がいったのさ」
誰もいってないよね?おしゃべりしている相手が急に殺しにかかってくることはあんまり無いけど、この世界じゃありえないことでは無い。
僕はきっと今、悪人の顔をしている。
「きっ貴様!」
あぁお姫様が怒った。顔が真っ赤だ。
激怒らしい。顔から火が出そうなくらい。もともと色白美人だからさらに目立つね。
でも誰が死んだかもわからないし、町の奴全員生きてる可能性だってある。
君は助けに行かないのかな。
首を傾げれば、彼女はハッとして爆破された方へ、教会へ走っていった。
動くの遅いなぁ。人間ってみんなこうだっけ?
でも僕も人間なのにこんなに動きが速い。いやでも前世じゃとても遅かったんだよな。
やっぱり場と状況と生まれによって変わるんだ。
そうそう今世の僕はとても速く動けるし体が軽い。なんか前世では運動音痴だった分動き回るのがやたらと楽しい。
そこらへんの冒険者が攻撃を仕掛けてくる。
ぴょこぴょこ飛び跳ねて攻撃を避ける。
あまりにも体が軽いものだから、攻撃が遅く感じる。
物語の中の勇者は竜やら魔神やらに勝利していたけど、実際に考えてみて勝率なんて無いに等しい。
体の構造が基礎的体力から魔素量まで根本的に違うんだ。勝てるわけがない。
僕が彼らの横に並べるのだって、ひとえに僕の前世知識とちょっと天才な魔法操作のおかげだ。
ついでに横に並べるだけであって、勝てるかと聞かれれば?無理ゲーと答える所存だ。
僕なんて人間を抹殺するのだって一苦労だ。魔族相手は無理だ。魔物相手ならまだ勝てるだろうけど。
最近なんてコバくんに負けそうで怖いったらありゃしない。
僕なんてどうせ後輩に追い越されるタイプの先輩なんだ。
あっ、なんだかナイーブになってきた。
そんなこんなで今日の人間殲滅作戦は終了した。
ところで、どなたか覚えているかもしれないが、僕は以前、こどもの日のようなことをしているクジラと遭遇した。
あれ、実は昇進の祝賀会だったらしい。
小学生の用意した誕生日会の飾り付けのようだったよ。
ご馳走は美味しそうだったけど。
それで、僕はなんと幹部補助から幹部補佐になった。
違いといえば、幹部と同じくらい偉くなっただけで仕事内容は全くもって変わらない。
正直実感もないし、そもそも昇進とかどっちでもいいんだけど。
これでクジラの役に立てると思うと嬉しいなぁ。
「ねぇ、イルカさまーこれ何ですか?」
人語に慣れてきたコバくんが僕にディスクの上にある細長い何かをいじっている。
金属でできていて、この世界にはなかったものである。
魔族相手の戦闘には絶対に使えないガラクタだけど人間相手なら効果バツグンだ。
そう、銃だ。
昔仲良くなった鍛冶屋さんにこんなの作って欲しいと頼んでいたものが数年かけてやっと完成したのだ。
「それはねー。対人間用武器。非力な僕専用だけど」
「イルカ様が………非力?」
あり得ないものを見るような目で見ないで欲しい。
僕はね、君たち魔族のように怪力おばけじゃないんだよ。鉄殴って粉砕とかできないからね。
「遠距離から魔法を使わずに攻撃できる。魔力感知にひっかからないから、なかなかいいと思うんだ。」
魔法を一切使わないから頑丈すぎる魔族には効かないんだけどね。
そのセリフを言った後、コバくんは叫びながら僕の部屋を出て行った。
「わあああぁぁぁっ!! クジラさまぁぁ! イルカ様が非常識なもの作ったぁぁ!」
何が非常識だ。魔法が使えるこの世界の方がよっぽど非常識だよ。というか、あの人、マモンが本名じゃなかった? 広めたのは僕だけど、だんだん本名を忘れていくよね。




