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17(聖女と勇者目線)

 聖女は勇者の仲間である。

 そもそも、勇者は異世界から召喚される訳でも、家系でなるものでもない。

 なんか神様の啓示で選ぶものだ。

 神様? 聖女にテレパシーを送ることのできる超人のことだ。

 顔も見たことがないし、会ったこともない。




 聖女はいつも誰かのために行動しているつもりだ。

 人間の、民の怪我を治し病気を治し薬を作って人を助けている。

 イルカからみれば、医者かナースの類だ。

 回復魔法と医術を扱っているので完全な医者と言っていいのかわからないが、某RPGなら僧侶の立ち位置だ。

 だというのに、彼女は助けられなかった。


 妹が魔族に殺された。


 だから彼女は魔族を敵視している。

 実際のところ人間を食べるし、弄ぶし、魔族なんて人間の捕食者のようなものだ。



 そんな聖女は、聖魔法という魔族の浄化をする魔法が使える。

 そして、それは確かに力強い魔族を追い払った。

 ある町を救った魔法だ。

 人々は喜んだが、聖女は疑問に思う。

 本来なら浄化され、魔族は消えるはずだった。


 でも、


 一人の魔族には、全くもって効かなかった。

 しかも結界が他のものに張り替えられていた。


 他の魔族がやられていない、もしくは一人でこの町に突撃してきていた場合、あの魔族だけだったら、聖女は町を守りきれなかっただろう。


 人間じゃない強さで、でも聖魔法は効かなくて、本当に訳がわからない。

 一応、王に伝えたが、あまり問題を気にしていない様子だった。

 勇者はしっかり聞いてくれたが、はたしてあの魔族には勇者の力は効くのだろうか。

 不安が募る。


 その魔族と少し会話をした。

 なんだか煽ってきた。

 人間を馬鹿にしているみたいで、とても嫌だった。


 ついでに勇者と聖女の関係を探ってきた。


 なんでだかわからないが、聖女はムカついた。

 民衆の前でなかったら、言い返していた。


 人前では見せないが、聖女は元々、気の強い性格だった。


 あの魔族のいう通りだった。


 だからこそ余計に腹が立った。

 言い返してしまう五秒前に魔族は撤退して行った。

 あともう少しで、勇者が到着したのに。


 聖女は悔しかった。





 勇者は小さな頃からずっと英雄に憧れていた。

 今では、責任感やら、強くならなくてはいけない状況やらに追われてそんな夢物語を本気にしてはいないけど。

 英雄の物語が好きだった。


 神の啓示とやらで勇者は勇者になった。

 当時はよくわからなくて困惑した。


 今でも自分が勇者であるという実感はない。

 でも魔王を討伐しないといけないのは良くわかる。


 この前も、町が一つ襲われた。


 聖女の滞在地であるにもかかわらず、だ。

 死傷者は多数。


 上位クラスの魔族が三人奇襲してきたそうだ。

 全滅ではなかったのは、聖女のおかげだろう。


 そして、


 聖女曰く、聖魔法が効かない魔族がいたらしい。

特徴は、まるで人間の()()()姿の子供。


 勇者は困惑している。

 イルカでいうところの

 謎のぱわー、正式名称、神聖術が効かない魔族がいるかもしれないからだ。

 神聖術とは神が人間に魔族を打ち払うため渡さしたとされる対魔族戦闘方や対処法のことだ。

 聖女の聖魔法も神聖術の一つである。


 勇者も神聖術を持っている。

 それが効かないのなら、純粋に剣術のみでその魔族と戦わなくてはいけない。


 勇者は焦って、慌てて、城中走り回りながら、対処法を探した。


 結局、剣術極めて仲間たちと協力して倒そうという結論になった。


 必殺技がないこと以外、いつもの魔族討伐と変わりはない。


 勇者は深呼吸してから、空を見上げる。


 決心はついた。


「俺は勇者さ。術がなくても、勝てる」


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