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勉強……まさか異世界にきてまでやるなんて思わなかったよ。
やぁやぁ、イルカさんだよ。
なんか、この世界って共通言語なのに、文字が場所によって違うという謎な状況で、僕は魔王の部下の部下だから、必要な教育だと言語(書き)のお勉強をさせられているんだ。
僕は英語がとても苦手だったのに、ひどいよね。
読みはみんな同じなのに、文字が違うなんて、おかしいよね。
それを言ったら、カメがそういうもんだから、グダグダ言わずに覚えろと言われた。
うん、それはその通りなんだけど、ね?
わかっていてもやりたくないものはやりたくないんだよね。
ため息をつきながらカメが作ってくれたワークを進める。
ああ、長い。
単語が覚えられない。
うわぁぁー。
現実逃避として蜘蛛の粘着力がすごい糸を使ってベタベタトラップを魔王城に仕掛けておいた。
いくつか作ってから、やっとワークをやり始めたら、進みがおかしい。遊んでいたな?とカメにバレた。
すごい、怖い。
怒りの圧力がすごかった。
後ろから黒いオーラが見えた。
心なしか、手にメスか何かが見える。
え? 何?
僕はそれで殺されるの?
それからはふざけないでワークやった。
今日のノルマが終わってから、罠に何かかかってないか見に行った。
一つ目の罠にかかっていたのは、ネズミだった。
僕、猫じゃないから嬉しくない。
しょうがないから森に返してあげた。
気を取り直して二つ目の罠。
今度はスライムに消化されていた。
ちょっと、それ僕が頑張ってつくった力作なんだけど、壊さないでよ。
最後に三つ目。
今度こそと思ったら、子供の人狼が引っかかっていた。
コボルトの子供だろうか。
顔は狼もしくは犬、でも二足歩行で人間っぽい。
ごめん、と謝りながら罠から出してあげた。
今度は一緒にやりたいと子供に言われた。
次からは人手が増えるから、今までできなかった悪戯ができるようになるのか。
友達ができて嬉しくなった。
ワークを一冊終わらせたら、二冊目が出現した。
思わず悲鳴をあげたら、カメに頭叩かれた。
痛い。軽く叩いただけみたいだが、それでもじーんとした。
そういえば、今さっき思ったのだけど、カメが最近よく絡んでくる。
いや、絡んでくるというのは語弊がある。
構ってくる。
基本的に構ってちゃんな自覚のある僕は、別にどうということもない。
ただ、強いていうなら、薄ら寒い。
あの、冷徹で僕を嫌っていたカメがどうして僕のことを気にかけるのか、不思議でならない。
そしてカメが僕に近づいてくるということは要するに、カメと仲のいいウニもやってくるということだ。
僕としては大勢いると楽しいからいいやって感じだけど、カメもウニも用が無いと黙りこくっていたりする。何故僕の近くに来る。
微妙に居心地が悪い。
「最近どうしたの? カメもウニも不安なことがあるの?」
僕なら何か力になれるかもしれないと声をかけてみる。むしろ何かやって欲しいから近くに来るのではないか?
いや…えぇとっ…と、カメは少し口籠った。
ウニは特に無いよと返してくる。
やはりウニはカメにくっついてきただけらしい。
「イルカはアシカと多少なりとも仲が良いだろう。温泉旅行の辞退を伝えて欲しい」
え?
温泉?何それ知らなかった。
え?ほんとにいくの?
「とりあえずその話の詳細を聞きにいこうと思う。僕その話知らなかったよ」
もしかして僕、ハブられてたの?え、怖い。
後に聞いたところによると伝え忘れらしい、よかった。ハブにされてなかった。
辞退?うん、伝えとくよ。
去り際のカメはホッとした調子だった。
もしかしたら人見知りなだけで僕は嫌われていなかったのかもしれない。
少なくともアシカよりは話しかけやすいらしい。
また、仲間と仲良くなれて嬉しいと感じた。
これで僕が人間じゃなかったら、どれほど良かったか。




