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必要のキャンバス
時刻表通りに電車は来ない。
構内はどこまでも静かだった。
私はどこに行こうとしてるのだろう。
兄さんはどこにいるのだろう。
いつまでも。
いつまでも。
いつまでも。
私は兄さんを探し続けた。
向かいのホームに電車が止まる。
行き急ぐ人々は、その身体の錆びついた歯車を動かし、電車へと乗り込んだ。
空っぽになった待合室。
私はそこに座っていた。
「どこにいくんだい?」
閉まるはずの列車の扉が喋る。
揺れる吊り革が踊る。
電光掲示板が笑う。
——ひらくドアにご注意!
ああ、こういう意味だったのか。
「早く電車に乗りなよ」
「なぜ、逃げるんだい?」
吸い込まれそうなホームの下、線路の上。
そこから逃げ出した。
陸橋の上も駄目だ。
真っ暗な海も駄目だ。
赤点滅の交差点も駄目だ。
誰も、私を見てくれなかった。
そうして私は描き続けた。




