↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
69/82

必要のキャンバス

 時刻表通りに電車は来ない。

 構内はどこまでも静かだった。

 私はどこに行こうとしてるのだろう。

 兄さんはどこにいるのだろう。

 いつまでも。

 いつまでも。

 いつまでも。

 私は兄さんを探し続けた。

 向かいのホームに電車が止まる。

 行き急ぐ人々は、その身体の錆びついた歯車を動かし、電車へと乗り込んだ。

 空っぽになった待合室。

 私はそこに座っていた。

「どこにいくんだい?」

 閉まるはずの列車の扉が喋る。

 揺れる吊り革が踊る。

 電光掲示板が笑う。

 ——ひらくドアにご注意!

 ああ、こういう意味だったのか。

「早く電車に乗りなよ」

「なぜ、逃げるんだい?」

 吸い込まれそうなホームの下、線路の上。

 そこから逃げ出した。

 陸橋の上も駄目だ。

 真っ暗な海も駄目だ。

 赤点滅の交差点も駄目だ。

 誰も、私を見てくれなかった。

 そうして私は描き続けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。