待合室
近頃、同じような夢を毎日見る。
灰色の空間。コンクリートの道路。重たく垂れ込めた曇り空。その下で、私はひたすら何かの行列に並んでいる。
何人並んでいるのか、その先に何があるのか、最初は何ひとつ分からなかった。自分が人間なのかどうかさえ曖昧で、もしかすると私は電線に止まるカラスの一羽で、黒い列の中に混じって空を見ているだけなのかもしれない。そう思うほど、夢の中の輪郭はぼやけていた。
それが、ここ数日で少しずつ変わった。
夢の中の私は人間で、私と一緒に並んでいる者たちも、おそらく人間だと分かるようになった。顔ははっきりしない。声も聞こえない。ただ、列を作っている背中だけが、夢を見るたびに少しずつ鮮明になっていく。
もうひとつ気づいたことがある。
私は夢を見るたび、数人分だけ前へ進んでいる。
なぜ分かったのかと言えば、見えたからだ。
この行列の果てに、木造らしき古い建物がある。初めは霞の向こうに沈む影のようだったそれが、夢を見るたびに近づいている。
近づいている、というより、私がそこへ運ばれているのかもしれない。
いつになれば、この退屈な夢は終わるのだろう。
そう思う頃には、私はまた深い眠りの底から引き上げられる。
私――縁紫ひかりは、目を覚ますたびに、あの古い建物の屋根の色を少しずつ覚えていった。




