↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2/82

待合室

 近頃、同じような夢を毎日見る。

 灰色の空間。コンクリートの道路。重たく垂れ込めた曇り空。その下で、私はひたすら何かの行列に並んでいる。

 何人並んでいるのか、その先に何があるのか、最初は何ひとつ分からなかった。自分が人間なのかどうかさえ曖昧で、もしかすると私は電線に止まるカラスの一羽で、黒い列の中に混じって空を見ているだけなのかもしれない。そう思うほど、夢の中の輪郭はぼやけていた。

 それが、ここ数日で少しずつ変わった。

 夢の中の私は人間で、私と一緒に並んでいる者たちも、おそらく人間だと分かるようになった。顔ははっきりしない。声も聞こえない。ただ、列を作っている背中だけが、夢を見るたびに少しずつ鮮明になっていく。

 もうひとつ気づいたことがある。

 私は夢を見るたび、数人分だけ前へ進んでいる。

 なぜ分かったのかと言えば、見えたからだ。

 この行列の果てに、木造らしき古い建物がある。初めは霞の向こうに沈む影のようだったそれが、夢を見るたびに近づいている。

 近づいている、というより、私がそこへ運ばれているのかもしれない。

 いつになれば、この退屈な夢は終わるのだろう。

 そう思う頃には、私はまた深い眠りの底から引き上げられる。

 私――縁紫ひかりは、目を覚ますたびに、あの古い建物の屋根の色を少しずつ覚えていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。