表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私は観測者  作者: ラム肉
終わりの始まり
18/19

16 相見える

――何を言っているんだ、こいつは…


「何を言っているんだ、お前は…」


「ん?そのまんまの意味だよ。作品を作る為のスパイスだよ。スパイス」


そんな…


「証拠が…証拠が無いじゃないか!」


「まぁまぁ、これでも見て落ち着きなよ」


そう言った瞬間、私の構えている銃が崩壊し始めた。


これは、エルの銃だ…


間違いなく…


「不思議に思わなかったのかい?


何故ボクの事をよく知っているのか。


何故ボクが全然来なかったのに、君の修行に一区切り着いた途端に来たのか。


エルは、観測者を殺していたボクの事を知っていた。にも関わらず、何故普通に生きていたのか。」


考えなかった訳じゃない。だが私は、そんなもんか、と思っていた。


「なら何故、エルは私を逃がせた事に安堵して笑ったんだ!」


「ん?あぁあの時か。いやぁ、あの時は危なかったよ」


そう言うと初代は、ニヒッと笑って


「あれは君にエルを印象づける為、そしていずれボクに向かってくるようにさ。

もっとも、計画が上手く行きすぎて笑みが我慢出来なかったのもあるんだけどね」


と、嬉しそうに言った。


あぁ、ダメだ。

ここまで言われれば私にも理解できる。


もう…否定出来ない――


こいつはエルだ、エルはこいつだ


その私の顔が好みだったのか初代はさらに機嫌を良くして続けた


「全く滑稽だね、全部ボクの意のままに動いてたとも知らずに」


そう言うと、一つ間を置いて私に顔を近づけてきた


「バァ〜カ。あっははは」


落ち着け、私。落ち着け。


次の瞬間、私は力を右手に込めていた。勢いそのままに私は初代に殴りかかった


「わぁ、まだこんなに動けるなんて。いいねいいね♪」


簡単そうに避けて煽りやがって。こっちは全力だというのに、ふざけるな。


「おやおや、ご機嫌ななめかな?その顔はボク好みじゃないなー」


その刹那、私の腹部に初代の拳がめり込んでいた。


「――ッカハッ」


一発だけ、されど一発。


その一発で私は立てなくなった。


(息がっ…ッ、出来ないッ…)


「やっぱり君はいい顔するねぇ…」


初代は笑みを浮かべながら、私の顔を持ち上げ、そう呟いた。


「ぐッ…」


「ははっ、腕を折ったら更にいい顔になったじゃないか!満身創痍って所かな?」


「さっ…とく…ばれ…やろ」


「ん?なんだって?」


「さっさとくたばれクソ野郎!」


「ははっ、やれるもんならやってみろよ。口だけ野郎」


やはりこいつの殺気は嫌いだ。だが二回目だ。


「もう慣れたんだよ馬鹿野郎」


私は初代の頭目掛け、思い切り頭突きをした


「ッツ」


初代は私を落とし、フラフラと後ずさりをした。


「やっぱりな。回復出来る攻撃は効かなくても、回復が必要ない攻撃は喰らうみたいだな」


「ふふっ、ふはっ、ふははははっ!」


その時初代はゆっくりと立ち直し、頭についた血を払った。

時同じくして辺りを包む初代の殺気が禍々しいものとなっていた。


「はぁ、まさかそこに気付かれるとはね…


で?それがどうした」


そう話す初代の顔は…笑みは、最早別人のように変わった。


それこそ――


この世のものではないかのように。


次の瞬間、私の体ははるか後方の崖にまで吹き飛ばされていた。意識が朦朧とする…


少し経ち、ゆっくりと初代がこちらへと歩いて来た。だが、その顔は元の初代の不気味な笑みを浮かべた顔であった。

殺気も禍々しい雰囲気も消えている。


もはや私には、それすらも怖い。


「あーあー、君がボクに本気を出させちゃったのが悪いんだよ?全く、君ほどの良作は初めてだったのに。」


それからしばらくグチグチと私に文句や不満を言い続けていた。だが私に攻撃はしてこない、何故だろうか。そんな事を朦朧とする意識の中で考えていた。


「全く、エルを使って操っただけで観測者としての能力すら忘れるなんて、嘆かわしい事だね。」


その時私はある事を閃いた。


「ん?どうしたんだい口をパクパクさせて、餌でも欲しいのかい?」


―――「わかった、わかったよ。仕方ない喋れる程度には回復してやるよ」


よし、これだけ頭が動くようになれば。


「んもぉ!なんだいなんだい!せっかく喋れるようにしてやっただろう?さっさと喋れよ!」


「…」


「え?何て?」


「私はもうとっくにこの世との別れの挨拶は済ませてるんだ、とっとと殺しなよ。」


「えー、せっかくだからもうちょい堪能させてよー。殺すのはその後でいいじゃないか」


そして私は一度大きく息を吐き、一気に息を吸った。


「殺せもしねぇのに殺す殺すなんて、情けねぇなぁ!」


「は?」


「殺せるもんなら殺してみろよ自己中野郎!」


言い切る前に私の腹には初代の手が貫通していた。


「はーぁ、せっかくいい作品だから生かしてやってたのに。」


――これでいい…これで…いいんだ……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ