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私は観測者  作者: ラム肉
終わりの始まり
16/19

14 絶

エルは死んだ


振り返った私の目に映ったのは――

不気味な笑みを浮かべ、笑う初代。

そして体を貫かれ持ち上げられたエルだった…


一瞬叫びそうになったが、私は我慢した。

ここで叫んでしまえば初代に見つかり、エルの犠牲の意味が無くなってしまう。


死に際、エルはこちらに気付いたのか私と目が合った。

そしてエルは…笑った――


あれから一体何日経っただろうか、分からない…

私はあの後、がむしゃらに逃げた。とにかく逃げた。


いつの間にか私はエルとの思い出の場所へ戻ってきていた。

小屋は壊れかけていた。だが、私の寝ていた部屋、そしてエルの部屋は残っていた。不思議と部屋の周りは壊れているが、部屋だけは綺麗に残っている。

…エルが守っていたのだろうか。

周りの森は戦場となり、木々も倒れ何も残っていない。だからこそ小屋の異質さが目に入る。


小屋は懐かしさもある。だがあの時とは違う。鳥も逃げたのか、風の吹く音だけが静かに、ただ静かに。だが確実に…

エルとの懐かしい記憶、声はもう…私の心の中にあるだけだ。あの時の普通が今は懐かしの思い出になってしまうとは…


しばらく小屋の瓦礫に座り、景色を眺めていた。

私とエルが出会ったのはあの辺かな。そう考えながらエルとの思い出を振り返る。

だが、私の目に写る景色は私の知っている景色ではない。


いつの間にか日が沈み始めていた。私は一度落ち着いて、寝ようと思い部屋へ向かった。

するとふとエルの懐かしさを感じたくなり、エルの部屋へと向かった。

しかし部屋に置いてあるのは一本の猟銃だけであった。エルは寝室を私に譲ってくれていたのだろう。


そう思い、ゆっくり猟銃に近寄り、触れると一気にエルの優しさや思い出が溢れ出てきて、気付いた時には涙が溢れていた。


その後のことはあまり覚えていないが…おそらくあのまま泣き疲れ寝ていたのだろう。目が覚めた時にはベッドの上で猟銃を抱え横になっていた。


エルの死に際の笑顔は何だったのだろうか――

私が逃げられた事に対する笑顔だったのだろうか。

私は静かに初代を…いや、エルの仇を倒す事を心に誓った。


倒すといっても今のままでは勝てるわけがない。道を進むには後ろを見ずに前を見て、一歩ずつ歩みを進めなければならない。

私はエルとの思い出の地を離れる事を決めた。


エルの猟銃を相棒に。

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