14 絶
エルは死んだ
振り返った私の目に映ったのは――
不気味な笑みを浮かべ、笑う初代。
そして体を貫かれ持ち上げられたエルだった…
一瞬叫びそうになったが、私は我慢した。
ここで叫んでしまえば初代に見つかり、エルの犠牲の意味が無くなってしまう。
死に際、エルはこちらに気付いたのか私と目が合った。
そしてエルは…笑った――
あれから一体何日経っただろうか、分からない…
私はあの後、がむしゃらに逃げた。とにかく逃げた。
いつの間にか私はエルとの思い出の場所へ戻ってきていた。
小屋は壊れかけていた。だが、私の寝ていた部屋、そしてエルの部屋は残っていた。不思議と部屋の周りは壊れているが、部屋だけは綺麗に残っている。
…エルが守っていたのだろうか。
周りの森は戦場となり、木々も倒れ何も残っていない。だからこそ小屋の異質さが目に入る。
小屋は懐かしさもある。だがあの時とは違う。鳥も逃げたのか、風の吹く音だけが静かに、ただ静かに。だが確実に…
エルとの懐かしい記憶、声はもう…私の心の中にあるだけだ。あの時の普通が今は懐かしの思い出になってしまうとは…
しばらく小屋の瓦礫に座り、景色を眺めていた。
私とエルが出会ったのはあの辺かな。そう考えながらエルとの思い出を振り返る。
だが、私の目に写る景色は私の知っている景色ではない。
いつの間にか日が沈み始めていた。私は一度落ち着いて、寝ようと思い部屋へ向かった。
するとふとエルの懐かしさを感じたくなり、エルの部屋へと向かった。
しかし部屋に置いてあるのは一本の猟銃だけであった。エルは寝室を私に譲ってくれていたのだろう。
そう思い、ゆっくり猟銃に近寄り、触れると一気にエルの優しさや思い出が溢れ出てきて、気付いた時には涙が溢れていた。
その後のことはあまり覚えていないが…おそらくあのまま泣き疲れ寝ていたのだろう。目が覚めた時にはベッドの上で猟銃を抱え横になっていた。
エルの死に際の笑顔は何だったのだろうか――
私が逃げられた事に対する笑顔だったのだろうか。
私は静かに初代を…いや、エルの仇を倒す事を心に誓った。
倒すといっても今のままでは勝てるわけがない。道を進むには後ろを見ずに前を見て、一歩ずつ歩みを進めなければならない。
私はエルとの思い出の地を離れる事を決めた。
エルの猟銃を相棒に。




