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アットホームな町の騎士団

 宿舎の入口をくぐると玄関ホールには何人か若い騎士がいた。するとそのうちの一人でコウエンと同じくらいの20歳そこそこの男がナナキたちに気が付き近づいてくる。


「ん。アシュレイじゃないか。ずいぶん早い時間に戻ってきたな。後ろはお客さんか?」


「うん。旅の人。今日の宿を借りに来たんだってさ」


「そうか。ん?どうかしたか?俺の顔になんか付いてる?」


 ナナキはその騎士の顔を凝視していた。それに気づいた騎士は片手で顔を触る。


「いやそうじゃなくて、あんたアルフさんだよな?」


 そう言われて騎士は少し驚いた顔をした。アシュレイも「知り合いだったの?」と問いかけてきた。ナナキはアシュレイの言葉を否定する。


「さっき路店であんたの親父さんに会ったんだ。そしたら息子さんが騎士だって話を聞いて。いやそれにしても・・・」


 目の前のアルフは父ジェフの遺伝子を相当濃く継いでいるようで、誰にでもわかるくらいそっくりだった。特にくっきりとした眉毛が全く同じといってもいい。これだけ似ているのも珍しいと、ナナキはついつい凝視してしまった。


「はははっ!そっくりだろう?初対面でも俺とオヤジが親子じゃないなんて疑うやつはどこ探したっていないだろうからな」


 アルフはが豪快に笑いながらほかの騎士にも「なぁ、そうだろう?」と合意を求めると皆一様に深く頷いた。街の人達と同じかそれ以上に陽気な雰囲気である。


「親父に聞いてここに来たのかい?」


「ああ。時期的に宿よりここのほうがいいと聞いたんでね」


 アルフは「そうか、そうか」と頷き「むさくるしいとこだけどゆっくりして行ってくれ」とまるで自分の家かのように言う。後ろからは実際に「お前のうちかよ!」とやじが飛び、ホールに笑い声が響く。


「いいじゃないか。騎士団は皆家族。お客さんは大歓迎。先輩たちもよくそう言ってるし?」


「まぁ、ジェフさんが勧めたんなら大丈夫だろうけどな」


「ジェフさんの目利きに間違いはないさ!」


 ほかの騎士も口々にそう言う。どうやらジェフという人は相当信頼が篤いらしい。路店前での突然の歌のリクエストによる一件でも、ただものではない感じはしたが、今考えるとジェフ提案したからこそ人があんなにも集まってきたのかもしれない。素晴らしい求心力である。


「さて、鍵を…っとメアリー婆さん鍵を出してくれ。2階の端部屋のがあるだろう?」


 アルフはそう言いながら隅にあるドアを大きく叩いた。


「・・・はい?」


 そう返事をして現れたのは腰の曲がったしわしわの老婆である。その様子を見てアルフはもう一度大きな声で話しかけた。


「だーかーらー。二階の端部屋の鍵をくれって!」


「そんなに怒鳴らんでも聞こえとるよ。はいこれじゃろ?」


 メアリー婆さんはどうだと言わん顔でそう答えた。そして、その声は見た目よりだいぶ若かった。


「婆さん!じゃあ、なんで聞き返すんだよ?」


「聞き返しとりゃせん。呼ばれたから返事したまでじゃ。」


 その途端またホールに笑い声が響く。


「…なぁ、アシュレイ?」


「ん?なに?」


 静観していたナナキは視線を騎士たちに向けたままアシュレイに尋ねる。


「こいつらみんな酔っ払いか?」


「ううん。みんな通常営業だよ」


 仕方ないと言わんばかりの顔でアシュレイは首をすくめた。その言いようも仕草もなんとも子供らしくない。


「…アットホームここに極まれりだな」


 仲がいいのもいいが、騎士団としてこれでいいのか少し心配になるナナキである。


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