旅先で起こるべくして起こったある事件8
ナナキは一応周りを警戒し、熟睡はしなかった。案の定夜は森に誰も来なかったので朝日とともに、イーヴァを起こし、ナナキたちは行動を開始した。
そのまましばらく歩いて森をもうすぐ抜けるというところで一休みした。その頃には日が高くなっていた。ナナキは朝起きて作っておいたモナパンをイーヴァに渡す。
するとイーヴァは「モナダケパン!」と嬉しそうにそれを食べ始めた。知っているようだが名前が違うらしい。
相変わらずナナキにはかしこまっていたので、それだと旅先で怪しがられるので言い含め少しだけ気安い雰囲気が流れる。
敬語が取れるまでにはまだ時間がかかりそうだが、それもそう遠くはないのではないかとナナキは思った。
ぼんやりと空を見上げる。今日はいい天気である。
ベラルドを全面的に信じるわけではない。けれど焦って逃げる必要はないと思っている。
ナナキだけならいざ知らず、イーヴァもいる。無理に進んでばててしまうより、少しずつ休憩を挟んだほうが効率がいいのである。
「ナナキ様。森の外はとても広いんですね」
イーヴァは遠くを見つめて笑う。追われているとは思えないのびのびとした様子である。
実際ここまで人間もきっといないだろう。この国はどこの街も自治性が高いゆえ、逸脱者が逃げたとしても、よほどのことがない限りそれぞれの領地を超えて追いかけてきたりはしない。
今回については死傷者もいない。そうそう重要視されるとは思えない。情報が回されるにしても近隣の村くらいだろう。
ただ、二人共珍しい髪色なだけに情報が回っていると面倒である。
とりあえず今は日除け替わりに長い布を巻いているが次の村に近づいたら注意する必要がある。
考えることは多いがまずは先を進んだほうがいいだろう。
「はぁ、そろそろ行くか」
「はいっ!」
ナナキが立ち上がるとイーヴァは元気よく返事する。
ナナキの長い旅にひとりの少女が加わった。これからまたひとり増え、大変な騒動に巻き込まれることになるのだが、それはもう少し先のことである。
外伝1完結です。そして続きます。汗)
話の展開上2章の間か最後にはさむと思います。




