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プロローグ

 夜も大分深まり、殆どの者が寝静まった頃、大都市より遥か北方に広がる深い森の中に夜闇にまぎれ走り抜ける二つの影があった。


 少年は、少女の手を握り、密集した木々の合間を器用に抜けて先に進む。そんな二人の遥か後ろから聞こえる「逃すな!捕まえろ!」という怒声に、少女は目に涙をたたえながらも何も言わず、ただひたすら懸命に少年に付いていく。そんな彼らを助けようとする人など誰一人いなかった。

 進むにつれて、追い掛けてきていた声はだんだんと近くなり、遂には、まばゆい光に照らされた。


「・・・あれ?おかしいな・・・」


 ひとりの男がランプを掲げ辺りを訝しげに見回す。


「どうした!いたか?」


「いや確かにここらへんで声がしたんだが・・・」


 そう言われてもう一人の男も目を凝らしたが、人らしき姿は見つけることはかなわない。


「誰もおらんな。もっと奥に行ったのかもしれん。必ず見つけなくては・・・」


 男達はさらに奥の方へと消えっていき、そこに残ったのは静かな深い闇のみ。

 

 その日を境に二人の行方は分からなくなった。


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