領主との対面
翌日の朝、朝食を済ませたのを見計らったかのようなタイミングで
昨日の従者が訪ねてきた。
「いったいこんな朝早くに失礼だと思わないのか」
私のパパは少し不機嫌そうに玄関先に立っている使者に向けて言った。
「ご主人様でございますね。
私はこちらの領主の下僕でゼノと申します。
こちらとしても大変恐縮ではございますが、くれぐれも”最速で”と主からうかがっておりますゆえ
申し訳ございませんが、ご支度をお願い申し上げます。」
その使者は不機嫌といってもまるで殺気があるかのようなオーラを出しているパパを見ても
なにもためらわずに話し、余程余裕があるのが不自然に見えた。
「支度といってもこの身一つしか持ち合わせておりません。
それに娘はとても体が弱いんですの良かったら日を改めていただけませんでしょうか。」
「それは大変でございます。 早急に邸宅にお招きして、安心出るよう
大変優秀な医者を呼びますゆえ問題ございません。」
母と使者の笑顔の応対に父は母の肩にポンポンとたたき
「往生際が悪いようだ。ではよろしく頼むよ。」
前者は母に後者は使者に向けながら手を差し出した。
すると使者と握手を交わすと、早々に準備をして、家族全員で馬車に乗り込み領主の館へ向かった。
馬車に乗る前に母に抱かれている私と
隣に立っている兄を見た使者は私と兄に微笑みながら挨拶してきた。
「おや、可愛い赤ん坊と坊やですね。初めましてゼノと申します。」
するとすかさず父は兄と使者の間を通り間に入って言ってきた。
「君は少年少女趣味なのか?不用意に私の子に近寄らないでもらいたい」
と頓珍漢な事を言っている父を母は咎めながら馬車に乗り込んだ。
(まったく、私の父は一体どんな頭をしているのか不安になってきた。)
そして、新しい発見があった。
私の家族の犬っころ共はなんと影に消えることに私は驚いた。
常にそばにいて消えることを見た事が無かったので新発見である。
馬車の中は快適であった。
私を抱いた母が無言で圧をかけてくれて、父と兄とを黙らせ母(私)の正面に座らせたのだ。
そして、領主の館に連れてこられた私たち家族は
着替えまで準備してくれたみたいで改めてある部屋へ通された。
そして、その部屋に先程の使者のゼノと呼ばれた人と一緒に入っていくと
「ようこそ我が屋敷に来てくださりました。
私はリトア領主のロドリゲス・リトアと申す。」
「初めましてラルフと申します。
我が家族に”嘘を”ついてまでお会いしたい理由とは
何でしょうか。」
私の父の発言に領主の男は(おや)と皮肉に笑うような顔を一瞬すると
数秒った後突然笑い出した。




