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ディグりディグられ生きるのさ

「ビビったっすよー。一人だけハブられたんかと思ったっす」


 置いてかれたリコをパーティに編入し、改めて洞窟に再出発。

 水滴の音が反響する無機質な環境に気付いたら一人って普通にビビるよな。うゆだったら起きて不貞寝するまである。



 コツ、コツ、コツ…………


 4人分の足音が虚しく響き渡る。別にホラーな演出という訳では無いが、強めのエコーがビビりゲージを徐々に蝕んでいくのを感じた。



「なぁリコ、採掘ダンジョンつってたけど、ツルハシで掘ったアイテムが売れるってことか?」

「基本的にはそうっす。ギルドに売ってもいいし、プレイヤーに売ってもいいっす。いま製造職は加工する鉱石が全然足りてなくて、低級な鉱石でも需要がマッハっすよ!」

「リコは情報通なのだな」

「や、たまたまっすよ! ギルドで立ち聞きしたんす!」


 そういや最初に会ったのも冒険者ギルドだったな。



「普段から冒険者ギルドとかうろうろしてるん?」

「そうっすねー、大体そんな感じっす」





「ん、敵だな」


 うゆの警告に雑談を切り上げ、前に集中する。バサバサと羽ばたく音をさせ、2匹の大きめのコウモリがふらふらと飛んできた。

 時々聞こえる羽音はこいつの音だったみたいだな。



「行きます……! ファイア、ボルト……!」


 魔法使いシオンがコウモリに火弾を放ち迎撃する。が、ふらりと羽ばたき、すげなく回避された。


「見た目通り回避力が高い! 小振りな攻撃で当てるの最優先!」


 こういう輩はえてしてHPが低い。戦士のうゆと格闘家のリコが前に出て対処する。

 俺も一応はヒーラー兼前衛だが、洞窟という狭さでは2人が限度だ。


「うゆ、横振りはやめとけ! リコに当てるなよ!」

「ん、了解!」


 まぁ気をつけるべきはそれぐらいで、コウモリ自体は大したことのない相手だった。

 軽い攻撃を数回受ければ、数枚のコウモリの羽と牙を残してポリゴンに還っていく。



「お疲れ、ダメージはない?」

「ん!」

「アレぐらいラクショーっす!」


 4人での初めての戦闘だが、概ね問題は無さそうだ。俺は見てただけだが。



「うゆ、ちょっといいか?」

「どうかしたか?」


 振り向こうとするうゆを押し留め、そのまま髪をいじる。

 うゆもそれを察したのか、大人しくイジられ待ちしてくれた。




「え、先輩、なに、やってんすか?」

「髪縛ってる。コレじゃ動きにくいかなって」


 うゆの長い黒髪自体はとても可愛らしいのだが、剣を持って動く時にはとても邪魔そうだ。

 とりあえずサクッとポニーテールに纏めた。剣道してる女の子はポニーテールという勝手なイメージがある。ゴムは看板娘から譲ってもらった。



「よしっ。どうだ、動きにくくないか?」

「ん、良い感じだな、助かる」


 髪を縛るだけで印象がガラッと変わるのは面白いよな。へそ出し軽戦士衣装も相まってソシャゲで人気なキャラみたいだ。



「ふふっ、ノクスくんって面倒見が本当にいいですよね」

「……そうっすね」



 ――

 ――――

 ――――――


 カンッ、カンッ


「あー、ガラス玉だ」

「ハズレっすねー、綺麗っすけどあんま高くないっす」

「綺麗なのに高くないのってなんだかなー」

「世の中そんなもんす」


 中に赤い模様が入っている綺麗なガラス玉を寂しくインベントリに入れる。

 道中、そこここで見つかる採掘ポイントを順番にツルハシで掘って素材ガチャだ。



「ノクスー、なんか拾ったぞー」

「おっ、綺麗だな!」

「ん、だろう?」

「ガラス玉っすよそれ」



 緑と赤の二色入りで綺麗なのにな。

 もちろん産出されるのはガラス玉ばかりではなく、鉄鉱石や石炭、花崗岩などがポロリと落ちている。


「ファンタジーな世界観なのに、リアルにも存在する鉱石ばっかりなんだな」

「植物も、樫とか竹とかでしたね」


 と思えば、聞き馴染みのない鉱石も拾えた。


 ――――――――

 火石の欠片

 微弱な火の力が宿った石の欠片。仄かに暖かく、懐に入れて寒さをしのぐ人もいる。

 ――――――――

 アルマ石

 石。微量のエーテルを帯びている。アルマ地方の名産だが、世界各地に幅広く分布している。

 ――――――――

 アクチノ閃石

 緑の光沢のある鉱物。宝石のように磨かれ深い緑の輝きを放つ宝飾品はスマラグダイトとも呼ばれる。

 ――――――――

 ゼリグストン

 火薬の原料になる鉱物。そのままでは爆発せず、特殊な処理を行わないと起爆しない。

 ――――――――


「やっぱ魔力とかファンタジー要素が入ってるやつはソムニア独自の名前で、現実と一緒の性質なやつは名前も一緒なんかな」

「ん、だろうな」


 だとすると、リアル知識があればかなり有利な一方、そっち方面だけで攻めてもぶち当たる壁がありそうだ。



 しっかし、この素材集め……ハマる。俺はオフラインゲームでも素材をコツコツ集めるのが好きなタイプだった。

 さらに奥にいけば低層で見られなかったアイテムが見つかるかもと思うとワクワクしてくる。

 それに鉱石というのも良い。武器や防具などの装備はもとより道具や乗り物に形を変える、いわば可能性の塊だ。それが掘れば掘るほどたくさん出てくるって、無性にテンションが上がってくる。



 やっぱり鉱石って、男の子のロマンだよなぁ……!

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