↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
66/84

推定ザコオロギ戦:前編

「戦いましょう」


 当然のようにフェリシアは血気盛んだ。うちのPTで僧侶が一番武闘派なのなんなんだ。


「ん、なら作戦でも立てるか」

「少しでも勝つ確率をあげるためにな」


 相手を良く見る。それだけで勝率が大きく違ってくる。

 といってもギガコケコの時と違い、今回は臨戦態勢じゃない。近づいたら襲ってくるだろうが、どのような攻撃をしてくるかは未知数だ。


 茂みから3人ひょこっと顔を出して、コオロギグループを観察する。


「まぁ、多分プチコオロギとかオニコオロギと同じような攻撃方法なんだろうけどさ」

「十中八九、飛びかかってくるのだろうな」


 驚異的な脚力で強烈な体当たりをかましてくるのは予想できる。戦士俺や僧侶フェリシアなら一撃は耐えられると信じたいが、魔法使いうゆにぶち当たったら一撃の可能性もある。


「う、後ろ足で蹴られても痛そう、です……」

「痛そうっていうかなぁ……凶器だろ、あのトゲは」

「真後ろにつかないほうが良さそう、ですね」


 牛や馬の後ろに立たない、みたいなものか。牛のような大きさだしあながち間違っていないかもな。

 というかムシって小さくて軽いから成立しているのであって、そのまま大きくしても自重を支えられないと聞いたことがある。あの牛みたいなのはどんな作りをしているのだろうか。



「後は数だな。プチコオロギはともかく、オニコオロギは放っておく訳にもいくまい」

「プチコオロギが12匹、オニコオロギが4匹、恐らくザコオロギが1匹、ですね」

「真っ先にオニコオロギを減らして、ザコオロギとの1対1……いや、3対1に持っていきたいな。後でおかわりが来るかもだけど」

「お、おかわり?」

「後から追加で呼ばれるかもってこと」


 雑魚を引き連れてるタイプのボスはそれだけで厄介だ。さっさとやっつけておきたい。


「他、なにかある?」

「あ、あの……思いつき、なんですが……」

「いいよ、言ってみて」

「ザコオロギの――――」



 ――

 ――――

 ――――――



「ファイア……」「セイント……」

「ボルトッ!」 「アローッ!」



 うゆの火弾とフェリシアの聖矢が、取り巻きのオニコオロギに当たりエフェクトを煌めかせる。これが戦いの狼煙(のろし)となり、火蓋が切られた。

 コオロギ達も黙って当てられている訳はなく、こちらに向かって一直線に突進してくる。

 プチコオロギが前列でオニコオロギが中列、ザコオロギが後ろにのっそりと構えている。


 続けて撃った火弾と聖矢は何発かプチコオロギに持ってかれたが、着実にオニコオロギに当たってHPを削っている。


「フェリシア、一旦ストップ。うゆは続けて」

「は、はい……!」

「ん! ファイア……ボルトッ!」


 フェリシアは回復の為にMPを温存する必要がある。聖矢を3発撃った所で制止し、後はうゆの出番だ。

 ムシに火属性が効果バツグンなのか、それとも聖属性が効きにくいのか、はたまた杖と素手という違いのせいなのか。うゆの火弾の方が威力が高い気がする。



 そうこうしている間に接敵し、フェリシアと一緒に先頭集団のプチコオロギを叩く。

 ザコオロギが先頭集団に追いつく前に、できるだけ数を減らしておきたい。プチコの攻撃は軽微とは言え塵も積もれば、あえて残しておく理由はない。



「よし、そろそろだ! 散開!」

「ノクスくん、気をつけてください!」

「そっちこそ!」


 なだれ込んでくるオニコオロギを避けるように、俺とうゆチーム、フェリシア単独に分かれ左右に離れていく。これは事前の打ち合わせ通りだ。

 案の定、ヘイトを多く稼いでいるうゆにコオロギが多く群がってきた。


「うゆを殴りたかったら俺を倒すんだな!」

「ん!」


 前衛が俺一人になったので横切りを解禁。プチコオロギを纏めて薙ぎ、オニコオロギは確実に一撃を当てる。

 流石にノーダメで撃退という訳にはいかず数発オニコの攻撃を食らったが、既に魔法で瀕死だったのか少ない斬撃でポリゴンに還っていく。


「かっこいいぞ、ノクス!」

「そりゃ、どう、もっ!」


 タルワールをオニコオロギに切り込ませ袈裟斬りにするも、オニコオロギBに体当たりをされて大きくよろめいてしまった。


「ファイアッ!」


 うゆが属性呪文だけを唱え、杖に宿った赤い光をオニコオロギBに当て吹き飛ばす。


「そんな使い方もできるんだな」

「そこまで強くないが!」



 何はともあれ、オニコオロギ4体のうち向かってきた3体は処理できた。残り1体はフェリシアがなんとかしてくれるだろう。

 問題は眼の前のこいつ、ザコオロギ。ようやく集団に追いついて参戦とはいいご身分だ。ただ、こいつと接敵する前に雑魚を散らせた時点で大幅に有利と言っていいだろう。


「こっちも倒しました……!」

「ナイス! 今んとこ順調!」


 布陣は俺とうゆがザコオロギの眼の前、フェリシアが側面。まぁまぁ理想的な配置といえる。だが……。


「あっ! 飛びます……!」

「! 横に逃げろ!」

「ん、んっ!」


 急いで横っ飛びをし、緊急回避を選択。直後、俺がいた所を牛のような巨体でザコオロギが突っ込んできた。後ろに逃げてたら確実に轢かれてたな。



「うゆ、平気か!?」

「ペッペッ、土が入った」

「平気そうだな」



 ザコオロギが大きく前に移動したせいで、包囲は崩れてしまった。これだから突進は。


「ノクスくん! いま回復します……!」

「助かる、MP平気?」

「は、はい……!」


 オニコオロギにぶつかられた脇腹をフェリシアに撫でてもらいながらヒールをかけてもらう。デカブツと戦うんだからHPはフルにしておきたい。



「後ろ足を溜めると、ジャンプの前兆みたいです……!」

「りょ、溜めてるのに気付いたらさっきみたいに共有で!」

「ん!」



 ザコオロギは器用に脚を動かしながら、こちらに方向転換をしている。またジャンプからの突進をするのだろうが、正直前からだと脚を溜めているかどうかがわかりにくい。



「さっきと同じ包囲戦法で!」

「ノクス、秘策は覚えてるか!?」

「あの、見当違いだったらすみません……!」

「そしたらそれは効果ないってわかっただけ良し! まずは何が効くのが色々試してみようぜ!」



 前哨戦は終わり、ここからが本番だ!

 取り巻きなんか捨ててかかってこい! 推定ザコオロギ!

 ダイオウコオロギとかだったら凹む!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。