アイテム収集はRPGの華
ごそごそ
「おっ、枯れた枝ゲット!」
「ん、あと8本目だな」
林に入っての採集ポイントからは枯れた枝がたくさん産出する。他にも枯れ葉や樹液、腐葉土にキノコなども拾えている。
「こういう採集ポイントからレアアイテムが出やすくなるスキルとかありそうじゃない?」
「採集師みたいなジョブとかあるかも知れないな」
もしくは採集用の装備とか。そういう事を考える程度にはアイテム集めが楽しい。特に使い道がなくても収集欲というのは湧くものだ。
「よしっ、次は……」
複数あるうちの次の採集ポイントに向かおうとすると、不意にフェリシアと目が合った。気まずくなって目を逸らしてしまったが……というか、さっきから目が合う頻度が増えている気がする。
いかんいかん、引きずりすぎだろ俺。
気持ちを切り替えて採集ポイントにしゃがみ込むと、隣にうゆが並んでしゃがむ。
「ん、枯れた枝! あと7本」
「キノコ、外れ」
「後でフェリシアに食わせてやろう」
きっとその時は突っ返されて頬に押し付けられて嫌な顔するんだろうな。
「っていうかさ、うゆ。良かったのか?」
「ん?」
「さっきのフェリシアのさ……」
「あぁ。なんだ、嫉妬して欲しかったのか?」
ん、んぐ。そういう捉え方もできちゃうか。
なんともない顔で、枯れた枝で地面の葉っぱをつつくうゆ。
「いや、して欲しいって訳じゃないけどさ。俺がああいうコトしてたらいい顔しなさそうだなって」
「なら、しなければいい」
「ごもっともで」
少なくとも俺がなにか言える立場じゃないのは確かだ。八方美人が嫌われるってこういうとこかぁ。
「……私は」
枯れた枝で葉っぱをいじりながら、うゆは続ける。
「ノクスが急にいなくならなければ、それでいい」
「急にも何も、居なくなんねーよ」
「きっとだぞ」
寂しげなうゆの頭を帽子越しに撫でてやる。
友達関係でなにかトラウマでもあったのだろうか。できるだけ優しくしてやろう。
「2人で何話してるんですか?」
フェリシアが頬を膨らませながら隣にしゃがみ込んできた。
ほっぺたをプスッと突いて空気を抜いてやる。
「なんでもない、明日も一緒に遊ぼうって話!」
――
――――
――――――
「ヒール……!」
「ふぅ……ありがと」
何度目かのオニコオロギ×プチコオロギ2体セットを倒して一息をつく。
オニコの攻撃は侮れないものがあるが、プチコはそれほどでもない事がわかっているので、先にオニコを倒してからプチコの順番で倒す。
うゆの魔法はプチコに対してはオーバーキル気味なので、オニコに当てた後は俺かフェリシアの後ろに隠れてもらった。一度うゆの魔法なしで戦ってみたが、結構時間がかかったので今のところこれがベストだろう。
ちなみに俺のパワーアタックも試してみたが、1.5倍ぐらいダメージが増えるのはいいがスタミナの消費もそれなりにあり連発はできない。
技はMPではなくスタミナゲージを消費するようで、ゲージがなくなるとしばらく激しい動きができなくなってしまう。今のところパワーアタックを連発しなければ大丈夫だ。
そんな戦い方をしているので被弾は少なくないが、そのダメージも回復役にかかれば綺麗さっぱり。HPが減った人を回復すると経験値が溜まりやすいとのことで、フェリシアも進んで回復している。回復するときに手を握られるのは毎回照れてしまうが……。
コオロギ達は出現率の高さも相まって、経験値効率が中々良い。この調子だと、比較的早く戦士をマスターできそうだ。
ただ、ドロップが脚、脚、脚、羽根……何かの素材にはなりそうだが、いまいち面白くない素材だ。
「売れば少しは金になるかな」
「なんとも夢のない話だ」
石のように固く、トゲトゲのある後ろ脚はそのままでも武器になりそうだ。加工すれば武器にはなるかもしれない。
せめてレアドロップでスキルカードでも落としてくれないかな。
そんな感じで収集と戦闘を繰り返しながら林を歩いていると、不自然に木々が消えていて開けた空間に出くわした。
「ボスでも居そうな空間だな」
「いるかもな、ザコオロギ」
そっと見渡してみると、広場の端に動く牛みたいなのが見えた。
いや、牛じゃなくてコオロギだな。牛みたいな大きさのコオロギ。
近くには豚ぐらいのオニコオロギ、犬ぐらいのプチコオロギが数体群れている。
「えーと。どうする? 帰る?」




