報酬タイム
――――――――
*狂鶏の綿羽
素材
ギガコケコに生えている綿状の羽根。水鳥のものと比べると一段落ちるが、軽量で保温性に優れている。
――――――――
*狂鶏の嘴
敵を啄みやすいよう鋭利に発達した嘴。中空になっており軽量だが、かなりの強度を誇る。
――――――――
*狂鶏の鶏冠
素材
ギガコケコを象徴するトサカ。トサカが大きければ大きいほどコケコ社会では偉いとされている。だが自分のトサカを目視できない彼らは、全員自分のトサカが一番でかいと思っている。
――――――――
*黒鉄もみじ
素材・食材
ギガコケコの硬い脚。黒鉄に迫るほどの強度を誇り武器の原料として広く活用されている。あまり美味ではないが特殊な調理法を用いると食べることでき、これを好む好事家もいる。
――――――――
*漆黒の尾羽根
アクセサリー
筋力+2、敏捷+2
ギガコケコの黒く靭やかな尾羽根。鳥にとって尾羽根は決して飾りではなく、方向転換やブレーキに用いられる部位だが、人間には飾りとして人気が高い。
――――――――
「ギガコケコ……」
あいつそんな大層な名前だったんか。デカピヨなんて言ってごめんなギガコケコ。やはりボスかそれに近い存在ではあったのだろう、ドロップの方式が雑魚とは違い、それぞれにルート権――ドロップを拾える権利――が独立して設定されていた。
そのお陰か、鶏冠と尾羽根は1つしかドロップしなかったが、嘴と黒鉄もみじは2つ、羽根に至っては46個も手に入った。
「ん、これだけのもふもふだ、まくらが1つや2つは追加で作れるな!」
いくつか綿羽をインベントリから出して、もふもふを堪能している。
あーあー、そんなもふもふするから体中に羽根が付きまくってんじゃねぇか。
「これ、そのままでも武器になりそうですよね……」
フェリシアは黒鉄もみじとにらめっこしながら何かを考えている。
「……食うのか?」
「えっ、いやっ、そんなっ……!」
「あー、フェリシアは食いしん坊だもんなぁ」
違いますぅ~、と両手をぽこぽこ叩きつけてくるフェリシア。こらぁ図星だな。
「ま、2本あるし、1本は食ってもいいかもな」
「えっ、本当に食べるんですか……?」
「別に、俺とうゆだけで食ってもいいが」
「だ、ダメですぅ!」
「んっ!?」
いつの間にか鶏の脚食べ食べ委員会の参加者になり驚いているうゆ。俺達一蓮托生だろ? 逃さねぇよ。
「問題はどうやって食うかだよな。特殊な調理法ってなんだよ」
「普通のもみじなら煮るだけで良いんだがな」
「あれ、うゆもしかして食べたことある系?」
「ん。鶏の脚は良い出汁が取れるから、ラーメンや中華スープに使われる。
ノクスやフェリシアも気付いてないだけで口にしてはいるだろう」
へぇ~、ゲテモノかと思ったら普通に食える食材なんだな、鶏の脚って。
しかし、うゆも良く知ってんな。さすが全身羽根まみれの鶏の化身。
「そうだ、尾羽根なんだけど……」
そういって漆黒の尾羽根を取り出す。色といい艶といい、そこはかとなく高級感。
「中々良さげな性能のアクセサリーだな。誰が装備する?」
「筋力と敏捷が+2って、強いよなぁ。他のアクセ知らないけど」
単純にステータスを上げる系の装備は持ってて損はないからな。
「そうだな、私はパスだ。2人で取り合ってくれ」
「え? う、うゆちゃんは要らないんですか?」
「別にスキルカード貰ったからって遠慮しなくていいんだぜ?」
「遠慮じゃない。理由はだな……」
うゆは自分の長い黒髪をふぁさ~っとかき上げ、俺達に見せつける。
「この黒髪では、黒い羽根のワンポイントは映えないのでな。装備の強さは大切だが、見た目にも気をつけたいところだ」
なるほど確かにうゆの黒髪に、黒い羽は埋もれてしまうだろう。もふもふしてる時に張り付いた白い羽がいやに目立つのが、より説得力を醸し出している。
ちょっとは見た目にも気をつけろよな。
「なら、こいつはフェリシアに、だな」
「えっ、あっ……」
俺は漆黒の尾羽根を、フェリシアの薄い水色の髪にそっと挿し込む。
「これは――似合うな」
「ん、言っただろう?」
うゆも自慢げに同調した。
褒められた本人は恥ずかしげに前髪をイジっている。
「ノ、ノクスくんにも似合うと思います、けど……」
「いいんだよ、俺は見た目にはあんまり気を使わねぇから」
「ノクス、悪いことは言わん。少しは気を使った方がいいぞ?」
無造作に鳥の羽毛を引っ付けてるやつに言われたかないなぁ。
うゆを見ていると、なんだか募金すると貰える赤い羽根を思い出す。
カバンや机、筆箱にくっつける人もいたが、男子の間では友達にこっそりくっつける遊びが流行ったっけ。
あれも鶏の羽根を赤く染めたものだと聞いたことがある。
「それにしても、そのままだとすぐ外れちゃいそうだよな」
「ん……ゲームの補正でなんとかならんか? 軽く動いてみてくれ」
「わ、わかりました……!」
ジャンプしたり、回ってみたり、首を横に振ってみたり。その度に水色のショートヘアがわさわさ揺れる。
しかし雑に髪に挿しただけの尾羽根は外れる気配はない。
「金具もないのに引っ付いてるのはなんか不思議だな」
「髪だけでなく、鞄や小物などにもくっつきそうだ」
「まくらとか?」
「ん、それは悪くない提案だな」
羽根取る為にもう一匹狩ってくか、ギガコケコ。と冗談を飛ばしてケラケラ笑ううゆ。
さすがに連戦は勘弁してくれ。
「うゆちゃんはもう、羽根つけてるじゃないですか」
「ん? おぉ、いつの間に」
そう言うと、俺の前に移動して背中を向け手を広げる。
「ん」
「ん、じゃないけど」
仕方ない、整えてやるか。しょうがなく服や髪についた羽毛を取り、毛繕いする。
全く、手のかかる子だぜ。




