デカブツと戦ってたらそりゃ目立つ
た、倒せたのか……あのデカピヨを……?
半信半疑だったが、足元に転がるドロップを見て遅れて実感が湧いてきた。
「やっ……」
『おおおおお!!!!』
「たー…………え?」
感極まり勝ち鬨をあげようとしたところ、そこかしこから歓声が聞こえてきた。
落ち着いて辺りを見渡せば、一様に初期装備を身に着けた人、人、人……つまるところプレイヤー20人ほどに取り囲まれていた。
口々にGGだのかっこいーだの、あの武器なんだだの感想を語り、拍手や指笛で囃し立てている。
大方、デカピヨから逃げおおせて、遠巻きに見ていたプレイヤーだろう。
何がビビるって、こんなにたくさん居たのに戦闘中は一切気付かなかったことだ。集中すると周りが見えなくなるっていうけど、本当だったんだな。
外野の数にビビったらしく、近くにいるうゆが駆け寄ってきて腕を掴んできた。注目される事にあんまり慣れていないのだろう、不安が込み上げてきたらしい。
いくつか舌打ちが聞こえてきたが、そういうんじゃねぇから!
「どうやら見られていたようだな」
「らしいね。痺れはもう平気?」
「ん、まだ少しだけ」
共に足を殴って痺れていたうゆは、既に調子を取り戻している。
というか、金属みたいにかったい足を全力で殴ったのに破損する気配のない樫の棍棒、どんだけ頑丈なんだ。
旅立ちの剣で勝てるわけないだろ。
「ノクスくん、うゆちゃん……!」
フェリシアも人目を気にしてか、駆け寄ってきた。
「ん、フェリシア。お手柄だったな!」
「そんな……お二人のおかげです……!」
「いや、みんな頑張ったよ」
実際、誰一人として欠けていては勝てなかっただろう。そして全員生きている。これは胸を張って誇るべき成果だ。
俺はうゆとフェリシアの手首を掴み、高く上に掲げ、野次馬に対峙する。
「俺達の勝利だ!!!」
その勝利宣言を受けて、先程より一層大きい歓声が鳴り響く。全く、あんま目立つのはキャラじゃないんだけどな。
「おい、ノクス。私はどうしたらいい?」
「適当に笑って手でも振っとけ」
アドバイス通り大きく手を振り口角を上げて応対する。
こ、こいつ……作り笑顔が下手……!
フェリシアはフェリシアで恥ずかしそうに俯きながら小さく手を振っている。
「その武器なんですかー!?」
おっと、外野から質問が飛んできた。少しは答えてやるか。
「樫の棍棒! お手軽で強いぞ!」
「棍棒だってー、うーん……でも使ってる所はかっこよかったなー」
「職はなにー?」
「旅人、レベル8と8と9!」
「えっ、旅人!?」
「あれで戦士じゃねーのかよ」
「あのニワトリ、ボスだったのー?」
「知らん、むしろ俺が聞きたい! 知ってるやついる?」
「知らなーい」
「隣の子はどっちがカノジョなんー?」
「関係ない質問でたら終わりだ終わり! 解散!」
手をパンパンと大きめに鳴らして追い払う。ヒーローインタビューはこれで十分だろ。
「ちぇー」だの「強かったねー」だの好き勝手いいながら、野次馬共が三々五々に散らばっていく。
「2人ともお疲れさん。もういいぞ」
「ん……こういうのは慣れないな」
「き、緊張しました……」
「ボス戦より疲れてないか?」
「野次馬は棍棒で殴って追い返せないからな」
おぉ、殴って万事解決の素晴らしさよ。RPGのストーリーと違って、現実では暴力で解決できることはそこまで多くない。
さて、色々あって横道に逸れたが、なにはともあれお楽しみ、リザルトの確認と参りますか!




