初めてのクエスト報酬
「娘が世話になったな」
俺達がぼちぼち冒険の続きを始めますかと駄弁っていると、寝具屋の親父が話しかけてきた。
なんだかんだマイホームでもソムニアでも喋ってばっかりだな。
「こ、こちらこそコトネちゃんにはお世話に……」
「コトネは良い子だな。親父殿、胸を誇っていいぞ」
「言われんでもわかってらぁ!」
へへっ、と鼻の下を擦りながら照れる親父。なんだかんだ似てるよなこの親子。
「そ、それで、あの……何かありましたか? もしかして、昨日の藁打ちに問題があったとか……」
「いや、問題ねぇよ。それより仕事の報酬を渡してねぇと思ってな」
仕事の報酬? 半ば無理矢理手伝えることはないかと押し掛けたやつだし、なんか申し訳ないな。
ほらよ、と俺達に1つずつアイテムが渡される。お金か何かかと思ったが、どうやら現物支給のようだ。
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樫の棍棒
攻撃力+12
樫で作った戦闘用の棍棒。
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「おおっ!」
思わず手に持って空にかざす。THE 木材という風貌だが、ゴンゴンと叩いてみるとその硬さがわかる。
横槌と同じぐらい強度があり、リーチがある分より重くなっている。旅立ちの剣とは重さも硬さも比べるべくもない。
たがが木材の塊と見くびることなかれ、下手な石や金属よりも強度がありそうだ。
「樫っつーのは堅くて重い木だぁな。これで殴ればポヨヨやピヨリン程度屁でもねぇ」
「樫は堅い木と書くからな。しかし、知識として知ってはいても、これ程とは思わなかった」
うゆは棍棒と旅立ちの杖を振り比べ、確かにこれでは戦闘に使えないなと納得している。杖を軽く叩くとコンコンと軽い音を立てる。密度の低さが明らかだ。
身長ほどの長さの杖を片手でぶんぶん振り回せている時点で、杖の軽さがわかるというものだ。
「昨日の横槌もだがぁ、金鎚や鍬、スコップの柄にも樫が使われてるんだぜぇ。堅いだけでなく粘り気も備えてるから折れにくく長持ちする、力仕事にうってつけの木だぁ。
ま、その分加工しづらい気難しい性格だがなぁ」
「あ、ありがとうございます……! でも、こんなに良いもの良いんですか……?」
「いいんだよ、折角鈍器の使い方覚えたのに、棍棒の1つも持ってねぇんじゃ恰好つかねぇだろぉ?
つってもそこまで高いもんじゃねぇけどな!」
ガッハッハと豪快に笑う親父。しっかし藁打ちを1時間した程度の駄賃では買えそうにないんだよなぁ、これ。
そもそも藁打ちも仕事というより初心者講習のお返しのつもりだったし。バイト代にしてはやや過剰な気もする。
「どうする、ノクス?」
「んなん決まってんだろ」
「それじゃ、ありがたく貰っておきます。その代わり、羽毛楽しみにしててください」
「おぅ! 無事に帰ってこいよぉ!」
せっかくの厚意を突き返すような無粋な真似はしない。
見ず知らずの旅人にこれだけ良くしてくれたんだ、恩には恩で返さないとな!




