現代人に狩りは難しい
「はぁ、はぁ……ここまで逃げれば追ってこないか……?」
丁度いい感じの草むらに隠れて一息つく。もしタゲが外れていなければ一巻の終わりだ。
「けほけほ……すみません、お役に立てなくて……」
「いや、最初のモンスターがあんな強いってわかんないって」
俺の中では、1つか2つ先のエリアのモンスターなんじゃ疑惑がある。実際、ダメージは全く通らなかったし。
「きゅ~」
「の、ノクスくん! うゆさんが……!」
あ、やべ! 逃げるのに必死でよく見てなかった。
抱えていたうゆをひとまず草地に降ろし、相対するは正座の構え。怒られたらスムーズに土下座に移行できる隙のないスタイルだ。
「ひどい目にあったな……」
目を回していたうゆは地面を何度か転がると正気を取り戻し、ゆっくりと立ち上がった。
「次はなるべく揺らさず運ぶように」
「善処します」
荷物みたいに運ばれるのは別に構わなかったらしい。
相変わらず身だしなみに無頓着なようで、身体についた草や泥を払ってやるとする。
「綺麗になったぞ」
「むふん」
何を得意げにしてるんだか。
フェリシアもワーじゃない、ワーじゃ。拍手も要らん。
「しかし困ったな。今の私達じゃ到底勝てそうにもない」
「同感。やっぱ初期装備じゃ厳しいんじゃねーかな」
「お、お仕事カードも旅人ですから、定職に付いたほうがいいのかもです……」
職、職かぁ~。
つまりあれか?
「やっぱり行くべきか? 冒険者ギルド!」
「ぼ、冒険者ギルド、ですか?」
こういう世界にありがちな、冒険者ギルドとか商人ギルド、戦士ギルドとかがある同業者の集まりだ。
冒険者ギルドでは、依頼の受注や駆け出し冒険者の訓練を請け負っている設定なことが多い。
「ま、この世界にあるか知らないけどな」
「少なくとも初心者の館的な施設はあるだろう。
ま、私らは正真正銘の初心者なんだ。大手を振って教えを乞うても文句は言われないさ」
だな、初心者期間だからヘマこいても大目に見てもらえるのはデカい。
「じゃ、とりあえず町で強くなってくるか……首を洗って待ってろよ、ピンクぽよぽよ!」
「く、首ってどこなんでしょうか……?」
「…………」
「……あっ、すみませ」
「うゆ、やれ」
命令されて仕方なくなんだ、恨むならノクスを恨むんだな。
とかなんとか言ってノリノリで髪をワシャワシャしに行った。
フェリシアもワシャワシャしやすいように前屈みになって「きゃ~」とか言ってるし。
案外相性良いのかもな、この2人。




