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ぽよぽよは最弱のモンスター

あの邪智暴虐なぽよぽよを誅せんと駆け出したフェリシアに続けと、俺達も走り出す。

うゆはあまり走りなれてないのか、大きなスタッフが邪魔なのかよたよたとしているが、転んでいないだけ大進歩だろう。


20mの距離を詰め、至近距離まで接敵した訳だが……キミなんだかデカくない?

直径70cmぐらいはあるような。

確実に大型犬ぐらいはある。夜道で出逢ったら悲鳴をあげる自信があるデカさだ。


気を取り直して、何はともあれファーストアタック。近づいても攻撃してこないところを見るに、ノンアクティブモンスターという奴だろう。

最初に走り出したフェリシアが先陣をきり、剣を最上段から振り下ろすこともせず、近寄りすぎて足をぽよぽよに引っ掛けて盛大に転んだ。


「ひぁ~~!!」


ずでぇん、と顔面から行ったな。ありゃあ痛そうだ。

そんなドジっ子行動でも攻撃だと受け取ったのか、ぽよぽよは臨戦態勢に移りドジっ子に体当たりする。ぽよ~ん。


「べぅっ!」


あ、なんか重そ。見た目とダメージに差がありすぎる。あと2、3発喰らったら死にはしないまでも嫌になりそうだ。

このままではフェリシアがピンクぽよぽよ恐怖症になりかねない。攻撃のターゲットを変えるためにも剣を振りかぶり、勢い良く袈裟斬りに振り下ろす。



ぼよんっ。



……あれ、あんまり効いてない!?

一応、血のかわりであろうポリゴンは飛び散ったのでダメージ判定はあるのだろうが、贔屓目に見ても痛痒は感じていなさそうだ。


しかしターゲットを奪うことには成功したようで、標的を変えたぽよぽよの渾身の体当たりが迫って……えっ、はやっ!?

咄嗟に腕をクロスさせガードをしたが、ドスンという見た目にそぐわぬ重さに数歩たたらを踏んだ。

えぇ、こいつ最初のとこに居ていい敵ぃ……?


もう一度、今度は横薙ぎに剣を振るうも、ぼよんっと先程と同じ音でカスダメージなのが見て分かる。

剣ならザシュッだろうがザシュゥ!!


ターン制バトルよろしく、もう一度体当たりを受けるが、痛みと言うより重い。

いまHPはいくつだ? そういえばHPやMPのインジケーターが見当たらないが、そういう仕様だろうか。

その代わり、攻撃を受ける度に視界から色が失われつつある気がする。

あっ、これが実質HPか! だとするとそろそろ死ぬぞおい。


最初に吹っ飛んだフェリシアはいつの間にか復帰したが、気炎を上げながら膝立ちで片手剣を何もない地面にぺしんぺしん振り下ろしている。

そこにぽよぽよはいませんよ?



「ファイアー!!」



俺とフェリシアがぽよぽよと死闘を繰り広げていると、後ろから呪文の詠唱が!

咄嗟に横に飛び退き射線を確保する。



が、いつまで経っても魔法は飛んでこない。

ピンクのぽよぽよは飛んでくる。う゛っ。


「フレイム! インフェルノ!!」


引き続きシュッシュッと杖をふりふり唱えているようだが、ぶぅんともぷすんとも言わない。



「ノクス、魔法が出ない!!」


「出ないって言われても! んぐっ!」


「かくなる上は……ふぬぁっ!」



魔法を使うことを諦めたうゆは、ぽよぽよに駆け寄り杖をフルスイング。

ぽこんっ、とぽよぽよに当たるが、近接格闘を想定されていない杖では力不足のようで、ポリゴンは少ししか削れなかった。


それよりも問題は、今のでターゲットがうゆに移ったことだ。

下手人は振りかぶったポーズのまま硬直しており、ぽよぽよの恰好の的になっている。


「のあっ!?」


お腹に体当たりをモロに食らったうゆは、受け身を取れずコロコロと地面に転がった。




「て、撤退ーー!!」


土ペロしたうゆを咄嗟に拾い上げ小脇に抱える。直後、ピンクぽよぽよがうゆのいた場所にずさーっと滑り込んだ。

フェリシアも謎の儀式を中断し、ひゃ~~と逃げ出した。



このゲーム、バランスやばくねーか!?

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