夢の扉
「ん、あれだな。二人とも、見えたぞ」
曲がり角を過ぎると、遠くに光る緑色の球体が見えた。
あれがソムニアへの入り口なんだろう。
広場になっているようで、周りには人、人、人……。あまりの人混みに軽く行く気が削がれる。
「それじゃ、行くか」
「あ、やっぱり行く感じ?」
「ん。ここで引き返したらなんの為に来たのがわからないだろう」
それはそうだけどなぁ……ログインする度に毎回あの人混みを体験すると思うとげんなりする。
「大丈夫だ、2回目からはファストトラベルできる。初回だけ手続きが必要だそうだ」
「あ、あの……じゃあなんで今日は混んでるんですか……?
み、皆さん、ファストトラベルで行けば良いのに……」
「そりゃあ、今日がソムニアのサービス開始日だからな。初日は混む」
そんなの決まってるじゃないか、と何でもないように答える。
え、初日? 3年前のワンドリ発売日から運営してたって聞いてたけど。
「この世界への扉は今日開いた。それだけ知っていれば十分だ。
さ、私達も夢を見に行こう」
それだけ言うと一人進んでいくうゆに置いてかれまいと、二人して後ろに引っ付いていく。
ある程度人混みに近づいていくと、後ろから他のプレイヤーに押されて自然に前に進んでいく。
夢の入り口であろう緑の球体の下半分が見えてきた。手を触れたプレイヤーから順にぽやぽやした光の毛玉に変化し、吸い込まれていく。
「ぽわぽわ……なんだかかわいいです……」
「これから俺達もあのぽわぽわになるんだぞ」
「えっ!? だ、大丈夫でしょうか……」
今からぽわぽわになる練習、と手をパタパタさせ始めたフェリシアだが、周りからの視線を感じてスッ……と手を下ろした。
「歩くのにも練習が必要だったんだ、ぽわぽわになるのもコツがいるかも知れん。
と、そろそろ私達の番だぞ」
流れ作業でどんどんログインしていくので、それほど時間はかからなかった。
もたもたしていたら後ろに迷惑だもんな。
「それじゃ、向こうで会おう」
「ん、迷子になるなよ」
「あ、あの、良ければ一緒に……!」
三者三様、気合をいれながら緑の球体に手を触れ、光のぽわぽわになってソムニウム・セフィアに吸い込まれた。
特にパタパタと手を動かす必要はないみたいだな。
一体どんな世界が待っているのか。
待ってろよソムニア!




