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童話「かあさんあのね」が、生まれた背景  作者: 琴乃夕月
プロローグ・・童話「かあさんあのね」
5/34

いつのまにか・・

「おかあさん、あのね、きいてる?」


「え?ええ、きいてるわ。

それでどうなったの?」


「うん、あのね、ここならだいじょうぶ。テラのおかあさん、そう言ったの。

みんな、まっくらだけど、この中だったらね、何にもしんぱいいらないねって・・・・・そう言ったの。

寒かったぁ・・・・・・・。


だからね、みんな、毛布にくるまってたの。

れんげちゃんもね、もう十五さいだったから、がんばって、おとうとたちとかくれてたの。


でもね、

ズドーンっていうのと、ビカーッていうの、

光ったり、石がおっこちたり、みんなみんないっしょだったの。


お山がね、火をふいたみたいだったの。

みんなみんな、まっくろこげ・・・・・・・・・

あついよう・・・・・ここから出して・・・・・・・。


いつだったかしら・・・・・・・

日本からお坊様がやって来るまで、ずっとずっとそこにいたんです。


くらい穴の中に、お経がながれました。


なんどもなんどもくりかえし、お線香をあげてくれました。


わたしは、

じぶんが死んだことを知りました。」


いつのまにか、れんげちゃんの話し方は、うんとおとなになりました。

そして、れんげちゃんの目は、どこかとおくを見ているようでした。


「おかあさん、あのとき、唄ってくださいましたよね。

テラの前で立ち止まって、手を合わせ、ゴメンネ、ゴメンネって言いながら・・・・・・・。

きれいな歌・・・・・。」


れんげちゃんの口から、そのときのメロディーがながれました。


「わたし、ついていきたくなったんです。


おかあさん、あのとき、ほんとにありがとう。

まっくらなへやから、外に出られてうれしかったの。

そばにあった、金色のモスクまで、つれていってもらえたから、わたしは、ねむることができました。


あのね、

だからいま、れんげちゃんのそばにいるんです。


もう二度と、あんなにかなしいことがおこりませんように、みんななかよくできますようにって。」


おかあさんが、ふと見ると、れんげちゃんはいつのまにか、すやすやとねむっているのでした。



~おしまい~    '93,2,25


挿絵(By みてみん)


ここで、童話「かあさんあのね」はおしまいです。次回からは、この童話が生まれた背景を、少しずつお話していこうと思います。

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