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童話「かあさんあのね」が、生まれた背景  作者: 琴乃夕月
第1章 そしてわたしは目撃者の一人となった・・
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ピンポイント攻撃という言葉が飛び交ったクリーンな戦争?によるインフラ破壊・・

まずイラクでどこに向かうべきなのかを考えたとき、バグダッド市内は落ち着いてきているものの、まだまだ南部などで、シーア派とスンニー派の対立が続いていたり、停戦したとは言うものの、連合軍の全てがそこからいなくなっていたわけではなかった。


赤新月社で紹介されたバグダッドの女性の活動を支援する場所(もちろんここでは、多くの女性が働いている姿を見かけた)を訪れた後、ルートが比較的安定している北部から回ってみることになった。

当時、イラクにあるチグリス・ユーフラテスの大きな川を渡るための橋は、その両端をピンポイント爆撃によりことごとく落とされていて、援助物資を乗せたトラックや私たちのバスがすんなり通れるような状況ではなかったことも影響していると思う。

私は、こういったことに関してはずぶの素人だったから、コーディネートされたルートを回りながら、ただただ驚きの日々を送っていたにすぎない。


バグダッド市内は比較的傷跡が少なかったと、後に南部を見た後では思うようになるのだが、戦争というものを全く知らない自分にとっては、ピンポイント攻撃を受けた多くの施設が、経済封鎖が続いているために部品も機材も手に入れられず、修理することもできずにそのままの状態で放置され、すべての機能が麻痺してしまっている都市の姿すら衝撃だった・・

いまだに回復していないテレコミュニケーションセンター・・そして復旧できていない電気・・上下水道・・

訪れてまず目についたもの・・

空爆によって破壊されたものは、イラク全土のインフラだった・・

私は、日本で受け取れた情報・・テレビや新聞で報道されていたことを信じていたから、ここまでひどい状況とはここに来るまでは思っていなかった。

あの軍事施設だけを目標にしたピンポイント攻撃という話はいったい何だったんだろう・・・


イラクという国は、私が想像していたよりもはるかに近代的な国家だった。

その時には、数字などのデータは全く私にはない状況で、明るい時間帯に眺めた5つ星のホテルが立ち並ぶような大都市の風景が、夜になってどんな寂れた街並みに見えたことか・・


これは、のちになってから知ったことだが、アメリカの空爆でイラクにあった11か所の大規模発電所すべて、そして119か所の変電所が破壊され、それによって、イラクは90%以上の電力施設が作動不能になったのだが、これらの修理のための部品は戦争が終わってからもずっと輸入解除にはならなかった。

具体的には、爆撃以前、バグダッドでは一日当たり9000メガワットの電力を消費していた。だが、爆撃が終わって3か月がたった時点で、バグダッドの電力消費量は一日700メガワットにまで落ちてしまっていたのである。個人の電力消費はもちろんのこと、給水ポンプと浄水処理に利用できる電力はほとんどゼロで、制裁のためその電力ネットワーク復興のための機械と交換部品さえ輸入できなかったのである。


私たちの見た施設のほとんどのジェネレーターが修理不能となるように、ご丁寧に2・3回の爆撃を受けていた・・

イラクという国は、イラン・イラク戦争のような長い戦争状態があったこともあって、自家発電設備を備えているところが多かった・・にもかかわらず・・である。


こんな状況の中、自分たちの泊まったホテルは外観こそ暗いままでも、部屋の中は、なんとか灯りがついてくれた。手探りすることも懐中電灯もいらない状態がありがたくて涙がこぼれた・・

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