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童話「かあさんあのね」が、生まれた背景  作者: 琴乃夕月
第1章 そしてわたしは目撃者の一人となった・・
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赤新月社の苦悩

ここで通された部屋で、少しショッキングなことを聞いた。

日本で、イラクの病院からオーダーがあったというファックスを翻訳していたこともあって、血液製剤が足りないことや、抗生物質がないことなどはわかっていたが、当然経済封鎖があってもこういうものに対しては援助をしようとする国もあるようで、病院には在庫がないのに、実は赤新月社の部屋にうずたかく積まれた救援物資の一角があった。

これはいったい何なの?


これらはすべて、イラクのクルドの迫害に関する記事が出たことを受けて、「クルドの人に」と対象者を決めたうえで送られてきた援助物資である。・・だから、ほかに回すことはできない・・と。


そしてもう一つの塊・・これは、期限切れの未使用の薬品・・当然だが医薬品にも使用期限がある。廃棄処分に当然すべきものがこれほど大量に送られてきていたとは・・


薬は化学物質であるため変質しやすいものだということが、一般には浸透していないことが原因の一つかもしれない。未開封ならいいと思って、送った本人は親切心からかもしれない・・でも、使用期限が切れた薬は劣化・変質している可能性があり、その状態では効果が期待できないばかりか、毒性が増し、体に有害な物質に変質していることもある・・当然これは使えない・・テトラサイクリン系の抗生剤は変質すると取り返しのつかない重大事故を引き起こしかねないから。

もちろん、使用期限が数日切れただけで有害な物質に変質することはほとんどないかもしれない。でも、どのくらいなら大丈夫という具体的なことはだれにもわからないし、保管状態によって大きく変わるものだけに難しい。

そこに大量にあったのは、期限を半年以上・・モノによっては1年も2年も・・過ぎているものばかりだった・・・


こういうおそらく勘違いによると思われる無駄な物資は、個人からの援助物資を逐一確認することなく、ひとまとめにして何らかの団体から送られてくるものに多く含まれている。

あるいはまた、大量に送られる医薬品の中には市販薬もあり、それがその国の言葉で記載されているだけで英訳したラベルがパッケージの外側に貼られていないために、何の薬かが不明なためそのまま放置されているものもあった。赤新月社で働く人たちには、それら1つ1つを選別するための作業が加わり、そのためにぎりぎりの使用期限のものが切れて行ってしまうというパターンもあるようだった。


私たちが訪れた91年5月の時点でのことだが、赤新月社の職員は「最近はそれを回避するために抜き取り検査をして、それが問題のあるものに該当していたら、その薬の収められた箱ごと処分に回して次の物資の箱を開いていくようにしている」と話していた・・

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