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最強ドラゴンだけどビビりなので勇者に倒してもらいます  作者: マコPON


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第45話 見えざる死闘と、竜王の羽化

『断罪の回廊』の最奥。鎮座する女神像の理不尽なギミックにより、勇者ただ一人が未知のボスが待ち受ける隔離空間へと強制転移させられてしまった。

残されたアルクは、鋭い観察眼を持つ魔術師と、隙あらばすり寄ろうとするアイリスの目を欺くため、両手を組んで「敬虔に祈るポーズ」をとりながら、全神経を聴覚に集中させ、眷属からの念話のみを頼りにした『完全ブラインド遠隔接待プレイ』という地獄のミッションに身を投じる。

(……ヒィィ、胃が千切れそうだぁぁ! 視覚情報が完全にゼロの状態で、見えない敵とのボス戦を遠隔サポートするなんて、どんな無理ゲーだよ!!)

 不気味なほどの静寂に包まれた女神像の前。アルクは両手を固く組み、目を閉じて神に祈りを捧げるポーズを微動だにせず維持しながら、その内心では血の涙を流してパニックを起こしていた。

 傍らでは、魔術師が深刻な顔つきで空間に漂う魔力残滓を分析しており、アイリスが退屈そうに親指の爪をカチカチと噛みながらアルクの背中を見つめている。彼女たちに少しでも不審な素振りを見せれば、この綱渡りの偽装は即座に崩壊する。アルクは冷や汗を必死に引っ込め、全神経を、脳内に直接リンクされたノクス(聖盾)とルミナ(聖剣)からの念話へと全集中させた。

『主。現在の戦況を報告します』

 脳髄を直接凍らせるような、氷点下よりも冷たいノクスの念話が響き渡る。

『敵性存在をスキャン完了。分類としては古代ゴーレムの亜種と思われますが、構成材質の密度と魔力耐性が異常です。現在、対象(勇者)は伝説の防具によるステータスバフを限界まで引き出し、ルミナと私をフル活用して交戦中。ですが……』

「はあああぁぁッ! 俺のターン!! そこだぁっ!!」

 ノクスの冷静な報告の裏で、隔離空間で孤軍奮闘している勇者の、場違いなほど熱血でテンションの高い叫び声がガンガン響いてくる。

『……対象の基礎技術および腕力が、圧倒的に不足しています。我々の武具としての性能は世界最高クラスですが、それを振るう彼自身のフィジカルと剣術スキルがまるで追いついておらず、ゴーレムの分厚い装甲に対して全く決定打になりません』

「これで終わりだ! 『ホーリー・バースト・スラッシュ』!!」

『もー! 主様ぁ、助けてなのー!!』

 勇者の叫び声に被せるように、今度はルミナの半泣きの声が脳内に響き渡った。

『アイツ、無駄に大仰なポーズで構えてるけど、ただ力任せにめちゃくちゃに振り下ろしてるだけなの! スラッシュって言ってるのに、剣の腹でゴーレムの装甲をバンバン叩いてるから、全然斬れないなの! 敵のゴーレムも「何やってんだこいつ」って感じで、反撃すらせずに呆れて棒立ちしてるなの!』

(……あのバカーーーッ!! 何やってんだアイツは!)

 アルクは顔面を引き攣らせ、祈る手にギリッと爪が食い込むほど力を込めた。

 確かに、勇者は伝説の防具を手に入れ、その絶大なバフ効果によって基礎ステータス自体は跳ね上がっている。本来のアイツは、決して腕の悪い戦士ではない。荒削りながらも実戦で鍛え上げられた基本の「型」と、正しい刃筋を持った優秀な剣士だったはずだ。

 だが、今のアイツは違う。必殺技という派手な力に酔いしれたせいで、それまで培ってきた堅実な剣術の型を自ら完全に放り投げてしまっているのだ。結果として、ただ身体能力が上がっただけの力任せな素人のように、剣を重い鉄の棒がわりに適当に振り回して暴れているだけなのである。

 なぜ、かつては堅実な剣を振っていた彼が、ここまでめちゃくちゃな戦い方になってしまったのか。

 思えば、あの魔王軍拠点での大乱戦だ。勇者が窮地に陥り、謎の『アドリブ必殺技』を叫んだ際、アルクと眷属たちは勇者を勝たせるために、過剰なまでの光と闇のエフェクトを盛りまくり、敵を木っ端微塵に粉砕してみせた。

 ……その結果、アイツの戦い方は完全におかしくなってしまったのだ。「剣術の理屈なんて関係ない。ド派手な技名を叫んで適当に武器を振り回せば、勝手に敵は消し飛ぶものだ」と、深い深い勘違いをしてしまったのである。

(……いや、待てよ。あの時、アイツのデタラメな剣筋に合わせて過剰な接待エフェクトを盛りに盛りまくり、見事な必殺技として『成功体験』を与えて決定的な勘違いをさせたのは……他ならぬ俺じゃないか……! 完全に俺の自業自得だ!!)

 良かれと思ってやった過去の手厚すぎる接待プレイが、まさかここに来て最悪の形で牙を剥くとは。アルクは自らの浅はかさを呪い、内心で滝のような血涙を流した。

『主。このままではリソースの無駄です。対象が極度の疲労で自滅するか、見かねたゴーレムの反撃によって致命傷を負う確率が極めて高いと推測されます。早急な指示を』

(ヒィィ、ここでゲームオーバーになられてたまるか! アイツは俺が手塩にかけて育ててきた、最高の素材なんだ! 俺が思い描く最高のエンディングで魔王を倒すその日まで、意地でも生かしてやる!! ……ええい、こうなったら背に腹は代えられない! ノクス、ルミナ!)

 アルクは脳内で決死の指示を飛ばす。

(お前たち、武具の形態から実体化して、直接アイツを手伝え! 『勇者の熱き魂の呼び声に応えて覚醒した、光と闇の精霊』みたいな都合のいい設定で顕現するんだ! アイツが適当に剣を振る動きに合わせて、お前たちが直接ゴーレムを殴り倒せ!)

『……は? 何を狂ったことを。この愚者のむちゃくちゃな剣技に付き合わされた挙句、今度は三文芝居までしろと? ……主の絶対の命令とあらば従いますが、非常に不愉快極まりない、屈辱的な任務です』

『ええー!? ルミナ、あんな恥ずかしいセリフ、絶対に言いたくないなの! でも、主様のお願いなら……ルミナ、歯を食いしばって頑張るなの!』

(頼む! お前たちの演技力だけが頼りなんだ!!)

───

 一方、他者の干渉を絶たれた隔離空間。

 無駄な乱打を終え、息も絶え絶えに肩で息をする勇者の前で、試練の番人たる巨大なゴーレムが、ついに重々しい石の腕を振り上げた。

「く、そっ……! 俺の必殺技が全く通じないなんて……ここまでなのか……!」

 勇者が絶望しかけた、その時。

 彼が両手にしっかりと握りしめていた剣と盾が、突如として眩い閃光と漆黒の波動を爆発させ、空中に二つの人型を形成した。

 神々しい後光を纏った美しい少女ルミナと、底知れぬ深い闇を纏った冷徹な女性ノクスの姿である。

「な、なんだ!? 剣と盾から人が飛び出してきた……!?」

『……我は、闇の精霊。汝の不屈の魂の叫びに応え、仮初めの姿をとった。大いなる契約に従い、汝の盾となろう』

 ノクスが、一切の感情を排した死んだような声で、台本を棒読みするようにセリフを紡ぐ。そして、ゴーレムが振り下ろした巨大な拳を、面倒くさそうに片手で展開した闇の絶対障壁であっさりと弾き返した。

『わ、我は……ひ、光の精霊……! 汝の、えっと……あ、熱き魂の輝きに惹かれて具現化した、光の化身! 共にこの試練の敵を討つのデス……なの!』

(……ッッ!? 「なの」って言ったぁぁぁ!!?)

 壁の向こう側、女神像の前で必死に祈るポーズを続けていたアルクは、ルミナの痛恨のキャラブレ(語尾の戻り)を念話越しに聞いて、心臓が口から飛び出そうになった。

 光の精霊が、語尾に「なの」なんてつけるわけがない。終わった、いくらなんでも不自然すぎる! 完全に怪しまれる!

「おお……! 光と闇の精霊! 俺の熱い想いに応えて、力を貸してくれるんだな! ありがとう、『なの』精霊!!」

(……気づいてねぇぇぇ!! 語尾の違和感をスルーしたどころか、むしろそういう名前の精霊だと思い込んでるぅぅ!!)

 アルクは滝のような冷や汗を流しながら、勇者のどこまでもピュアで疑うことを知らない真っ直ぐな主人公気質に、全細胞で感謝した。

『……ハァ。茶番はもう十分です。手っ取り早く終わらせます』

 完全に呆れ果てたノクスが、指先一つで無数の闇の鎖を展開し、ゴーレムの巨体を完全に絡め取って拘束する。すかさずルミナが極太の光の刃を形成し、身動きの取れないゴーレムの関節という関節を次々と無慈悲に切断していく。

 勇者は「おお! 俺の力が精霊たちに宿っている!」と大声で叫びながら、安全圏から光のルミナを空中に向かって適当に振り回しているだけだ。

 ものの数十秒で、圧倒的な耐久力を誇っていた試練の番人は塵となって崩れ去り、光の剣と闇の盾へと具現化していたルミナとノクスは、再び静かに勇者の手に収まった。

『主。任務完了しました。言っておきますが、もう二度とあのような恥知らずな三文芝居はさせないでください。不快の極みです』

『主様ぁ! ルミナ頑張ったなの! ちゃんと光の精霊っぽく振る舞えてたでしょなの!?』

(ありがとう、お前ら本当に最高だよ! お前たちがいてくれて本当に助かった……!)

───

 直後、女神像の前の空間がぐにゃりと歪み、勇者がひょっこりと無傷で姿を現した。

「アルク! みんな! 無事に戻ったぞ!」

「勇者! よくぞ生還した!」

 アルクは目を開け、安堵のあまり本気の声を上げた。これで勇者の命も、俺が夢見る魔王討伐への道も繋がった。

 魔術師が、信じられないものを見るような目で勇者を上下に観察する。

「あ、あの隔離空間から、たった一人で生還したっていうの……? 一体、中でどんな恐ろしい試練があったのよ」

「ああ! 実は俺の絶対に諦めない熱い想いに応えて、剣と盾から光の『なの』精霊と闇の精霊が顕現して、俺と一緒に戦ってくれたんだ!」

「……は? なの精霊?」

 魔術師の怪訝な顔つきと疑問の声を強制的にシャットアウトするように、アルクは重々しい咳払いを一つ落とした。

「コホン。……見事だ勇者よ。其方の決して折れぬ魂が、この深き試練を乗り越えた何よりの証である」

 アルクのその言葉を合図にしたかのように、神殿の最奥に佇む巨大な女神像が、再び神秘的な淡い光を放ち始めた。

 ゴゴゴゴ……と地鳴りを立てながら、神殿の中央の石の床が左右に開き、そこから眩い光の柱と共に、一本の豪奢な剣がせり上がってきたのだ。

 美しい装飾が施された鍔には神秘的な宝石が埋め込まれ、白銀の刀身からは、触れる者すべてを浄化するような圧倒的な聖なる魔力が溢れ出している。ルミナが精一杯擬態していた聖剣とは比べ物にならない、本物の神秘のオーラ。

「あれは……! まさか、おとぎ話に伝わる本物の『伝説の剣』……!」

 魔術師が息を呑み、アイリスすらもその強力な波動に目を細める。

 勇者は魅入られたようにフラフラと台座へと歩み寄り、震える手でその柄に手をかけた。

『主。至急、警告します』

 その時、ノクスの緊迫した念話がアルクの脳裏に鋭く響いた。

『対象が今まさに引こうとしているあの伝説の剣が放つ、濃密すぎる聖なる波動……これ以上接近し、剣の封印が解放されれば、それが強烈な引き金となります。主がこれまで幾度となく気を失いかけながらも抑え込んできた『竜王』への進化が……ついに臨界点を突破し、不可逆的に始まります』

(……っ! やっぱりか……! 薄々嫌な予感はしていたが、本物の伝説の剣の聖気をこんな至近距離でモロに浴びたら、もう絶対に誤魔化しきれないってことか!)

 アルクは顔面から血の気を引き、一瞬にして蒼白になった。これまでも幾度となく彼を襲ってきた、あの全身の血液が沸騰するような耐え難い高熱と、意識が吹き飛びそうになるほどの圧倒的な熱量の予兆。それをこの場で、ついに抑えきれなくなるというのか。

「よし、これが俺の……!」

「待て、勇者!!」

 今まさに剣を引き抜こうと力を込めた勇者の背中に、アルクは思わず切羽詰まった大声を張り上げていた。

 勇者が驚いて振り返る。アルクは額から滝のような冷や汗を流し、呼吸を荒げながら、真っ直ぐに勇者の目を見据えた。

「その剣を抜く前に、一つだけ……お前にどうしても伝えておかなければならないことがある」

「アルク……? どうしたんだ、急に怖い顔をして」

「もし、お前がその剣を抜けば、俺は……俺の内に深く眠る強大な力が暴走し、人間の姿を保てなくなる。完全に元の姿へと戻ってしまうだろう。いかなる勢力にも属さぬ、この世の中立者たる『竜王』の姿にな」

 アルクの悲痛な告白が、静まり返った回廊に響き渡る。魔術師が信じられないというように息を呑み、一歩後ずさる。しかし、アイリスだけは、主の身体の奥底から漏れ出し始めた更なる深淵の魔力の気配を感じ取り、陶酔したような不気味な笑みを浮かべていた。

 しかし、告白を聞いた勇者は、驚愕するでもなく、武器を構えるでもなく。

 ふっと優しく、そしてどこまでも力強い、曇りのない笑みを浮かべたのだ。

「アルクが何者だろうが、そんなの俺には関係ないさ」

「……え?」

「ここまでずっと一緒に旅をして、幾つもの死線を越えて、背中を預け合ってきた仲間じゃないか。中立者だとか、恐ろしい竜王だとか……そんな名前で、俺たちの絆は揺らがない。俺は、俺の最高の仲間である『アルク』を信じてる!」

 一切の迷いがない、真っ直ぐで力強い主人公の言葉。

 アルクの胸の奥で、言い知れぬ熱い感情が込み上げ、目頭が熱くなった。

(うおおおお……! なんて純粋で真っ直ぐな主人公ムーブなんだ! まるで王道RPGのクライマックスのセリフじゃないか! こんなセリフを直接もらえるなんて、プロデューサー冥利に尽きるぜ……!!)

「……抜いてくれ、勇者よ。君の伝説を、完結させるために」

「ああ!!」

 勇者が力強く、伝説の剣を台座から一気に引き抜いた。

 ズオォォォォン……ッ!!

 引き抜かれた瞬間、回廊全体が祝福の産声を上げるかのように、目を開けていられないほどの眩い光に包まれた。そして、空間を満たす強烈な聖なる波動を全身に浴びた瞬間、アルクの心臓が、人間の限界を超えた野太い脈動を打ち始めた。

 ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ!!

「ぐ、あぁぁぁぁ……ッ!?」

 アルクは膝から崩れ落ち、熱く脈打つ胸を強く押さえ込みながら大きく息を呑んだ。痛覚こそない。しかし、幾度となく耐えてきた、あの圧倒的な力の奔流。だが今回の波は過去の比ではない。アルクの意思とは無関係に、限界まで押し込めていた『竜王』としての本能と莫大なエネルギーが、臨界点を突破して大爆発を起こそうとしていた。

(……ノクス!! もう抑えきれない、進化が始まる! だが、ここで本来の山のような巨体に戻ってしまえば、この『断罪の回廊』ごと崩壊して、勇者もろとも全員ぺしゃんこだ!! 頼む、お前の闇の結界で、俺の肉体の膨張を限界まで縛り付けろ! 人間サイズのまま、極限まで圧縮して固定するんだ!)

『……正気ですか。莫大な質量と竜のエネルギーを人間のサイズに無理やり圧縮などすれば、肉体への反動により、精神と体に言語を絶するほどの凄まじい圧迫と負荷がかかりますが』

(構わん、やれ!! 勇者を……俺が死ぬ気でプロデュースしてきた最高のエンディングを、こんなところで物理的に潰すわけにはいかないんだ!!)

『……了解しました。最大密度の拘束結界、全力で展開します』

 直後、ノクスが展開した不可視の闇の鎖が、爆発的に膨張しようとするアルクの肉体を外側からギリギリと容赦なく締め上げる。

 メキメキ、ゴキィッ! と、アルク自身の骨格が砕け、そして再構築されていく凄惨な音が響く。

 着ていた服が内側からの圧倒的な圧力で弾け飛び、その下から現れたのは、柔らかい人間の肌ではなく、漆黒の鈍い輝きを放つ、鋼よりも硬質な『竜の鱗』だった。背中の皮膚を突き破って鋭い皮膜の翼が展開し、手足は岩盤すら容易く引き裂く鋭い鉤爪を備えた、強靭極まる竜の四肢へと変貌していく。

 ノクスの結界による決死の制御のおかげで、本来であれば天を突くような巨大な姿になるはずの竜王は、**「人間サイズの竜王」**という、信じがたいほど高密度に圧縮された姿への収束に成功したのだ。

 二本角が生えた、獰猛で凶悪な竜の頭部。そこから放たれるのは、人智を完全に超越した圧倒的なプレッシャー。それは紛れもなく、この世界における真なる竜の姿であった。

「グォォォォ……ッッ!!」

 圧縮による絶大な負荷を乗り越え、地を揺るがすような竜の咆哮が迸る。

 静まり返った回廊。伝説の剣を構え、息を呑む勇者と、黒煙の中から立ち上がった完全体たる竜王アルクが、静かに対峙する。

「アルク……」

 勇者が震える声で名を呼ぶ中、凶悪な姿へと変貌した竜王は、低く、しかし確かな知性と理性を感じさせる声で静かに語りかけた。

「……驚かせてすまない。見ろ、勇者。これが俺の真の姿……いかなる勢力にも与しない、この世の中立者たる『竜王』だ」

「竜王……。でも、お前は……なぜ俺たちと……」

 人類の最大の脅威ともなり得る、強大すぎる存在。本来ならここで、互いの存亡を賭けた死闘が始まってもおかしくない緊張感だ。

 しかしアルクは、恐ろしい竜の口元にニヤリと人間くさい笑みを浮かべ、威厳に満ちた声で堂々と告げた。

「安心しろ。中立者である俺が、お前とこれまで同行してきた理由はただ一つ……お前という光が、最悪の魔王を打ち倒す。その『最高の結末』を、一番近くで見届けるためだ」

(――要するに、お前という最高の熱血勇者が魔王を倒す『超王道RPG展開』を、特等席でプロデュースして拝むためだけどな!!)

 恐ろしい竜王の姿から放たれた、威厳と期待に満ちた宣言。その内心で、彼がRPGオタク全開の熱すぎるプロデューサー魂を燃えたぎらせていることなど、ピュアな勇者が気づくはずもない。

 伝説の剣を手にした光の勇者と、彼を導き見守る中立者の竜王。かつてない奇妙で強固な絆が、ここに完全な形で結ばれたのだった。

アルクの手厚すぎる接待のせいで、すっかり「技名を叫べば勝てる」と勘違いし、基本の型を忘れてしまっていた勇者!

眷属たちの決死の芝居と見えないサポートでなんとか試練を突破し、ついに本物の『伝説の剣』を手に入れた一行でしたが……その強烈な聖なる波動を浴びる直前、アルクはついに自らが『竜王』へ進化してしまうことを勇者に告白します。

「何者でも関係ない、仲間だ」と真っ直ぐに信じる勇者の言葉を受け、アルクは遂に竜王へと完全進化!

ダンジョンを壊さないようノクスの結界で莫大な負荷に耐えながら「人間サイズ」に圧縮しつつ、明かされるのは「魔王討伐の最高の結末を見届けるため」という建前(内心はオタク全開のプロデューサー魂)!

魔族の敵ではなく、この世の『中立者』であったアルク。正体と目的を共有した勇者と竜王の、最終決戦に向けた熱い旅路がいよいよ始まります!

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