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最強ドラゴンだけどビビりなので勇者に倒してもらいます  作者: マコPON


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第14話 帰宅直後に詰みました

勇者から名前をもらい、最高のイベントを終えて気分よく帰宅したアルク。

しかし、現実はそう甘くありませんでした。

今回は天国からの急転直下、魔王軍のターンです。

戦闘を終え、勇者パーティと別れた。

 一度距離を置く。

 それが一番安全だと判断したからだ。

(……さすがにあれ以上一緒にいたら目立つよな)

 森を抜ける。

 見慣れた道。

 巣へ戻るだけの、何でもない帰路。

(……今日はちょっと疲れたな)

(いやでも、普通に神イベントだったわ)

(名前呼ばれて握手って……やばすぎだろ)

 思い出して少しテンションが上がる。

(……まぁそれはいいとして)

 視線を上げる。

 巣が見える。

(帰って一回休――)

 止まる。

(……え?)

 違和感。

 いや。

(……いやいやいやいや)

 気配。

 多すぎる。

 明らかに異常。

(何これ……何これ何これ)

 背筋が冷える。

 巣の周囲。

 完全に。

 囲まれている。

(いや待て待て待て待て待て)

 逃げ場がない。

 前も。

 横も。

 後ろも。

(詰んでる詰んでる詰んでる)

 完全に包囲。

(いや聞いてない聞いてないこんなの)

 その時。

 頭の中に声が響く。

「――偉大なる存在よ」

(来た……タイミング最悪)

「どういう状況だ」

 声が少しだけ上ずる。

「ご報告いたします」

 観測員の声は、いつもより硬い。

「貴方様が未だ“魔王への謁見”を行っていない件」

(あー……はい)

「並びに、勇者側への関与が過剰であると判断されました」

(あー……はいはい)

 嫌な流れ。

「その結果」

 一拍。

「魔王様より“強制執行官”が派遣されました」

(……やばいやつだ)

「現在」

 間。

「貴方様の巣は、完全に包囲されています」

(知ってる!!見えてる!!)

 思わず内心で叫ぶ。

(いやどうすんのこれ……どうすんのこれマジで)

 ノクスが静かに言う。

「……高危険度状況」

(それは見りゃ分かる!!)

 ルミナが不安そうに言う。

「主様……どうするのー?」

(どうするも何も逃げ場ないんだけど!?)

 ゆっくりと視線を巡らせる。

 一体。

 二体。

 三体。

(数もやばいし……気配が全部おかしい)

 ただの手下じゃない。

(あれ絶対強いやつだろ)

 空気が重い。

 圧がある。

(無理無理無理無理無理)

 一歩下がる。

 だが。

(いや下がっても意味ない……完全に囲まれてる)

 喉が渇く。

(これどうやって抜けるんだよ……)

 観測員の声が続く。

「対応のご判断を」

(判断って言われてもな!?)

 思考がぐるぐる回る。

(戦う?いや無理じゃないけど怖い)

(逃げる?無理、包囲されてる)

(話す?いやそれが一番マシか……?)

 選択肢はある。

 だが。

(全部怖い)

 正直な感想。

 ルミナが小さく言う。

「主様……震えてるのー」

(うるさい見んな)

 ノクス。

「……精神状態、不安定」

(知ってる)

 深く息を吸う。

(……落ち着け)

 視線を前に向ける。

 巣の入口。

 その前に立つ影。

(あれが“強制執行官”か)

 明らかに違う。

(あれは……ヤバい)

 逃げたい。

 正直、全力で逃げたい。

(でも逃げたら終わるよな、これ)

 少しだけ。

 本当に少しだけ。

 覚悟を決める。

(……行くしかないか)

 足が重い。

(いや怖い怖い怖い怖い)

 それでも。

 一歩。

 踏み出す。

(帰ってきてこれとか聞いてないんだけど)

 震えながら。

 それでも進む。

 巣の前。完全に包囲されている。逃げ場なし。

(無理無理無理無理無理……帰ってきてこれとか聞いてない)

 入口の前に立つ影を見上げる。

(……でかい)

 巨大な鬼。圧が異常。見るだけで足が止まるレベル。

(あれが“強制執行官”……?見た目アウトすぎるだろ)

 だが――

「おかえりなさいませ」

(……え?)

 声は穏やかで、やたら丁寧。

(優しい……?いや見た目と一致しなさすぎて逆に怖いんだけど)

 鬼は一歩も動かない。ただそこに立っているだけで、空気が重い。

「お待ちしておりました」

(待たれてた!?帰宅イベントみたいに言うな)

 ルミナが小声で囁く。

「主様……あれ、メイドなのー?」

(メイド!?あれが!?)

 ノクスが静かに訂正する。

「……冥土の可能性」

(やめろ縁起悪い)

(でも……話せるタイプか?)

 一歩、前へ出る。

(丁寧にいけばワンチャン――)

「……その、今回は状況の――」

 空気が変わる。

「“今回は”……ですか」

(あ、やばい)

「魔王様のご意向を、軽んじておられるご様子」

(違う違う違う違う)

 圧が増す。

「……ご同行願えますか」

(拒否権なしだこれ)

「……分かった」

 即答。

(もう無理。逆らったら死ぬ)

 鬼が一礼する。

「ありがとうございます」

(礼が丁寧すぎて怖い)

 鬼が片手を上げる。

 空間が歪む。

 円形の“穴”が開く。

(うわ出た、ポータル系)

 中は真っ暗。

 だが、奥に城の気配。

(魔王城、直通かよ)

「こちらへ」

(行きたくねぇ)

 だが、背後は包囲。

(詰みです)

 一歩、踏み込む。

 視界が歪む。

 次の瞬間。

 景色が変わる。

(……は?)

 石の床。

 巨大な空間。

 圧倒的な魔力。

(これが……魔王城)

 思考が一瞬止まる。

(スケールおかしいだろ)

 その瞬間。

「ノクス」

「……了解」

(全力でいい。全部見ろ)

「……内部構造、解析開始」

 空間の“流れ”を読む。

 気配を分解する。

 構造を記憶する。

(勇者が来る時のために、全部把握しとく)

 ノクスが静かに処理を進める。

「……進行中」

 鬼が歩き出す。

「こちらでございます」

(案内丁寧すぎて怖い)

 長い廊下。

 重い空気。

(完全に敵地だよなここ)

 ルミナが小声で言う。

「主様……帰れるのー?」

(帰れる気しない)

 ノクス。

「……生存確率、低下傾向」

(言うな)

 足が重い。

(怖い怖い怖い)

 だが止まれない。

 やがて。

 巨大な扉の前。

「到着いたしました」

(来た)

 鬼が扉に手をかける。

「魔王様がお待ちです」

(待ってないでほしい)

 扉が開く。

 重い音。

 その先。

 玉座。

 そこに座る存在。

(……あれが)

 魔王。

 空気が変わる。

 圧が違う。

(さっきの鬼が可愛く見えるレベルなんだが)

 逃げたい。

(無理)

 視線が合う。

「……来たか」

 低い声。

(うわ無理無理無理)

 だが。

(ここで黙ったら終わる)

 喉が渇く。

 それでも。

 一歩、前へ。

(やるしかない)

「……遅れた」

 声は、かろうじて出た。

(よし……まだ大丈夫)

 ノクスが静かに補足する。

「……対話、継続可能」

(頼むからサポートしろよ)

 魔王がこちらを見る。

「理由は」

(詰められてる)

 心臓がうるさい。

(でも――)

(ここは、俺がやるしかない)

 逃げ場はない。

 誤魔化しも通じない。

 完全に“対話”の場。

(……ゲームじゃないな、これ)

 それでも。

 震えながらも、口を開く。

読んでいただきありがとうございます。

最高の気分のまま帰宅したら、巣が完全包囲されていて魔王城へ強制連行されました。

そしてついに、ラスボスである魔王との直接対面です。

逃げ場なし、誤魔化しなしの状況で、ビビりドラゴンはどう切り抜けるのか。

次回、魔王との対話編へ続きます。引き続きよろしくお願いします!

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