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8−5 東の海

 レジーナは東部フォークストーン近くのサンドゲート海岸に来ていた。経費で馬が使えたとは言え、50マイル以上の距離の移動で疲れ果てていた。

(支払いは良いとは言え、これは止した方が良かったかな)

レジーナとしては後悔を隠せないところだが、とりあえず何か特徴的なゴミでも拾って帰らないと支払いが渋くなる可能性がある。

(まだ距離があるとは言え、エイルシャムに近くなっている。風塵の魔女の里とイザコザが起きない様にしないと)

魔女の里の中では割とのんびりとしている水籠りの魔女の里出身のレジーナとしては、危険人物の巣窟と言われる風塵の魔女の里には近づきたくなかった。


 この海岸は国の南側の海岸部とは言え冬である。強い風が吹くとやはり寒い。

(ん~、二日くらい観察するか?)

とりあえずまだ村があるフォークストーンの方が泊まるには良かろうと、漁港のある方へ行く事にした。


「すいませ~ん、二泊したいんですが、どこか泊めてくれるお宅ありませんか?」

「おうっ、女の一人旅か?危ねぇじゃねぇか!」

「器量が悪いんで変な目には遭わないですよ」

「何言ってんでぇっ!こんな田舎じゃあめったに見れねぇ別嬪さんじゃねぇか!」

「えへっ、ありがとうございます」

レジーナも魔女の里を出て過ごしているから、愛想は振りまく様になった。

「村長の家なら泊めてもらえるぜ。あの赤い屋根の家だ」

「ありがとうございますっ」

  

 そうして村長の家に泊めて貰える事になった。

「何にもない村だけどな、まあゆっくりしていってくれ」

「はい、ありがとうございます。ところで、主人から言われてこちらで何か起こっていないか確認しに来たのですが、この冬に特別起きている事ってありますか?」

「おう、それならな、漁獲量が減ってるんだよ」

「魚が泳いで来なくなったんですか?」

「そこは分かんねぇ。だけどボウズな日が多いんだよな。獲れても例年より少ないんだ」

「気温とか水温が高いとか低いとか、気になる事はないんですか?」

「ここ数年、昔より寒いっちゃあ寒いが、今年特に寒いなんて事ぁねぇな」

「海の色が違うとか、そういうのは無いんですか?」

「赤潮か?あれは暖かい時期に起きるからなぁ、今時は無ぇぞ?」

「そうですか…漁の船が戻って来るのは何時頃になります?」

「他の季節は日の出前に出るんだが、この季節は寒いからなぁ、日の出の後に出て帰ってくるから、9時頃かな」

「獲れた魚を見せて貰っても良いですか?」

「ああ、じゃあ、朝には起こすぞ」

「お願いします」


 次の日の朝、レジーナも海岸線を歩いてみたが、特別に違和感のある物は見当たらなかった。

「船漕げ、船漕げ、もっと漕げ~♪」

思わず鼻歌を歌うくらいしかやる事も無かった。そろそろ漁に出た漁船も戻ってくるかと港に行ってみた。

「何か獲れました?」

「タラが何匹かだけだなぁ。ボウズよりは良いが」

見たところ2ftあるからまあまあだと思うが。

「もっと大きいのが獲れねぇとな」

「普通はもっと大きいんですか?」

「この辺じゃあ冬しか獲れねぇし、もうちょっと大きいのが例年は獲れるんだけどな」

色は普通に銀のタラだし、異変はなさそうだった。


 村長の家では保存食のタラの日干しを水で戻したものを煮込んだ料理が出た。

日干しをすると味が凝縮・熟成されるし、水籠りの里にも時々持ち込まれていたから変な風には感じなかった。

「こいつは昨年中に獲れたのを干しといたんだが、年が明けてからは漁獲が少なくなっちまったんだよ」

「じゃあ、1カ月以上、不漁なんですね」

「そういうこった」

それで王子の耳に入ったんだな、とレジーナは納得した。水籠りの魔女の里に持ち込まれたものと比べても味に遜色は無い。タラの群れの中の魚体に異変はなさそうだ。つまり、群れの泳ぐ位置が変わってしまったのか。船乗りじゃないから、船で沖合まで出ての調査は勘弁してくれ、とは思った。


 夕方にもレジーナは海岸線を歩いた。物の収穫は無かったから、せめてデボラに土産を持って帰ってやろうと、砂浜で貝を拾う事にした。

「子供が好きなのは綺麗な貝より巻貝かな?」

そう思うが、巻貝なんてそうそう落ちている訳がない。二枚貝が剥がれて波で打ち上げられる事はあっても、巻貝など海底で何かにひっかかって砂浜には流れてこないだろう。そこで満潮で流される可能性に気付いた。夜の満潮で流されてきた貝が朝なら見つかるかもしれない。レジーナは明日の早朝にまた砂浜に来る事にした。


 そうして次の日の朝、日の出後すぐにレジーナは砂浜にやって来た。狙い通り、何かが砂浜に打ち上げられている様だった。

(何だあの小山は?)

濃い灰色の小山が砂浜に打ち上げられていた。

近づくと結構大きい。

(ちょっと持って帰るのは無理だな)

小物入れにナイフが入っているが、わざわざ切り取って持って帰っても意味があるかどうか分からない。とりあえずレジーナはそれが何か触って確かめようと思った。いざぺたぺたしようとした瞬間、それの一部が首をもたげた。

「ぎゃーっ!!」

…以外とレジーナもデボラと同類かもしれない。大人ぶってるが。そうして逃げ出したレジーナが離れてからその小山を見ると、持ち上げた部分は顔の様だった。

(口を結んでいるが、鼻の孔も目もある。海獣か)

 色々調べた結果、書こうとした事を見失いました。と言うか、思い出した結果、書きたいものが書けないのが分かりました。だから何だと言うと、日曜に書きます。


 明日は疾風の更新です。調査隊は日曜の予定。

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