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7−14 隕石はどこからくるのか

 ここで第三王子エドウィンが間に入った。

「クリスティン、メテオの魔法と言うのはどういう魔法なんだい?」

「この惑星は月の倍の距離に小衛星が沢山残っているの。だからそれを落とすのがメテオの魔法」

ジェシカが口を挟んだ。

「ちょっと待って。月の倍の距離って何!?その距離が観測出来るって事?」

「魔法をスポット状に当てれば問題なく観測出来るわ。月面観測なんて土魔法部なら誰でも出来るでしょ?」

「土壁の魔女の里なら出来るかもしれないけど、普通は無理よ!」

氷結の魔女デボラの先輩であるレジーナは常識のある魔女だったから、このデボラの同級生らしき森の里の魔女がとんでもない事を言っているのが分かった。さっさと投降して良かったよ、と思っていた。ここで風塵の魔女カーラが口を開いた。

「惑星とか衛星とか言っているのを見ると、森の魔女は地動説を推してるのか?」

「星の運行を観測した履歴を調べれば、どうしても地動説になるでしょう」

「残念ながら風塵の魔女は星の運行には興味がないんだ」

そういう意味では教会も星の運行には興味がなさそうだ。経典には地面が固定で星が動いていると書いてある訳ではないのだが。


 王子が話を元に戻した。

「森の魔女の里が地動説を支持しているのは分かった。それに従い、この星から月より離れた場所にある星を動かせるのも分かった。クリスティン、それは森の魔女の里の魔女なら多くの者が出来るのか?」

「サイズに依るわ。地上に落ちるほど大きいのを動かせるのは母以外は数人でしょうね」

「イザベラとやら、そなたの意見はどうなんだ?」

「クリスティンとその母親のブリジット以外は無理だ!数世代ぶりにメテオの使用者が現れたのがブリジットだったのに、その娘が能力を引き継いだんで大騒ぎになったんだ!」

「誤解よ。燃え尽きるものを動かすだけなら数人いるわ」

「地面に落ちて大惨事になるのがメテオの魔法だろうが!」

イザベラとしてはまだ足蹴にされていたいのだろうか、クリスティンの眉間の皺が伸びない様に告発を続けた。その構図がとても羨ましいと王子は思っていたが、そろそろ話を進めたいのでとりあえず仲裁する事にした。

「二人の意見が多少食い違うのは分かった。後で話を聞こう。クリスティン、君の仲間のイザベラの扱いについては後日相談したい。そこは頼めるか?」

「ええ、癖の強い娘だから知っている事は教えます」

「頼む。他に急いで報告する事はあるか?」

「アイスちゃんの先輩が投降したそうよ。アイスちゃんに確認して」

「デボラ、そうなのか?」

「あ、は~い。先輩のレジーナです」

敵方の人間なのにこの緊張感の無さに、デボラが何も考えていないのが皆分かった。レジーナももうちょっと紹介して欲しいと思ったが、これに何を言っても無駄だとは分かっていたので自己紹介をする事にした。

「ああ、水籠りの魔女の里を出たレジーナだ。とりあえず金で雇われていたが、こういう機会に王家側に情報を持ち込む為に参加したと思って欲しい。今は情報を隠すつもりはないから、食事さえ出れば情報提供は惜しまない」

…投降した時は皆、『情報を得るため』って言うよな、と皆思ったが、まあそこは王子に任せる事にした。

「うむ、情報は欲しいから明日話を聞かせてくれ。ちなみに今日の宿はあるのか?」

「敵方の屋敷に世話になっていたから、今晩は帰る場所がないねぇ」

「分かった。客人の魔女として遇するから王城へついて来て欲しい」

「ああ、頼むよ」

「では後ほど。クリスティン、東公園近辺での魔法戦は全て勝利したという事で良いかな?」

「ええ、公園近くで騎士達に敵方の炎熱の魔女と暗黒の魔女は渡してあるから、騎士団に問い合わせて頂戴」

「ああ、ジェシカもデボラも良くやってくれた」

デボラは何も考えずに答えた。

「ありがとうございま~す」

ジェシカは一言言いたい様だ。

「魔女相手だと色々厳しい事があるので、出来れば事前の説明をお願いします」

「ああ、今回は相手の目が学院にあったので、隠さざるを得なかった。悪かったね」

「事情は分かりました。お言葉有難く頂戴致します」

「そういう事で、イブリン、イザベラ、レジーナは騎士について王城に来てもらう。それ以外は解散だ。後日、昼食でも奢ろう」

…それで終わりかよ、と皆思ったが、下手に報酬をねだってまた何かやらされるのも嫌だから昼食で手を打つ事にした。一方、今回の事情聴収はしないのか、とも思ったが、王子の事だから適当に話を合わせるのだろうとも思った。クリスティン以外の皆も、エドウィン王子がそこまで真面目だとは思っていなかったのだ。


 クライブは東公園のいきさつを軽く確認したいと考えた。

「それで、クリスティン、そちらはどうだった?」

「カミナリさんもアイスちゃんも私が調整した魔法棒に文句を付けたけれど、それ以外は特に問題ありませんでした」

それで済まされるのはジェシカとしては不本意だった。

「二人が外見に文句を付けるんだから、デザインに大問題があるでしょ!」

そっちかよ。それについてはデボラも一言言いたかった。

「そうだぞ!ウツボ巻き魔法棒なんて知り合いじゃなければもの凄く恥ずかしかったんだぞ!」

蛇が絡まっているのはよくあるけどなぁ…と皆思ったが、皆一つ二つは欠点を抱えているものだ。だからそこは流す事にした。

「まあまあ、二人共。魔法棒の調子は良かったんだろう?クリスティンのその気持ちと労力には感謝してあげようよ」

クライブがそう纏めようとしたが、二人は収まらなかった。

「だって人前に出して恥をかいたのよ!」

「そうだそうだ!恥ずかしかったぞ!」

デボラは都合よく恥をかいた事にした。見ていたレジーナは王子と共に去ってしまったし。クリスティンはだから改善策を言い出した。

「じゃあ、カミナリさんは角が痛いバリバリ棒に変えて、アイスちゃんは自立するヘビとぐろ棒に変えましょう。それなら良いでしょ?」

「良いわけあるか!」「そうだそうだ!」

ジェシカもデボラも改善じゃなく改悪は受け入れなかった。

 ここで7章を終了します。日曜から8章予定。何でも相手のせいにする悪役とかが今ならタイムリーかな。

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