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東京の夜は明るいとは聞いていたが…




「どうしよう、めがシパシパする。」



どこもかしこも真昼のような明るさ。ネオンが怪しく煌めく街がそこにはあった。



「おまけに丸一日かけたのに、誰にも声かけれなかったし、探索者支援団体の場所も分からんし…泣きそうだ」





声をかけてくるのはキャッチのお兄さんぐらいなもんだ…丁重にお断りしてんのに百メートルぐらい話し続けるとは、見習わなければ。





「それよか、そろそろ宿を探さにゃ野宿になるな。」



日もすっかり落ちきった街。明るくてまだまだいけると勘違い起こしそうになる。






…まいったな。ビジネスホテルはどこも満室とは、何か催しもんでもあるのかね…普段は空いてるとか言ってたし。




しゃーなしで選んだラブホで明日の作戦立ててたら何故かノック。



はて?ルームサービス的なのは頼んでないが…



怖いので無視…しようにもノック…ノック。


いやいや、なんだよ。怖ぇ…




恐る恐る…ドアの覗き穴からあちらを伺うと、見知らぬ誰かさん。



はて?苦情か何かかな?俺なんかしたかな?




嫌だなぁと思いつつもドアを開ける…すると一瞬戸惑いながらも言葉を紡ぐ相手さん。





「フェ…フェアリーです!よろしくお願い申し上げます。」




妖精さんによろしくされちゃいましたが、うん。わからん…



…わからんが中に入りたそうなので、俺よりおどおどしてるし、とりあえずどうぞ…やべぇお茶とか用意してないけどあったかな?…





「あの…わたし、このお仕事初めてで、わからない事が多いですが、よろしくお願いします。」




二度目のよろしく、だが、待て不穏な空気だ。これはもしや間違いなのでは…




「あー悪いが、フェアリー、さん?おたくはどのような御用件でこちらにおいでになられたのかな?」



「はい!お客様のオモチャになりにきました。…で合ってますか?」




おいおいおいおいおいおい…これはおかしい。そしてあれだ。この子多分…




「部屋、間違えてんぞ。」


………しばしお待ちを。




血の気が引いていくのが目に見えて分かる。そして絶望。



しかもだこの子…



「どうしよう…今から行っても遅刻だし…大丈夫かな…あー、どうしようどうしよう…」




ですよね…あーちなみに部屋は



「601です…というかもしかしてここのホテル…名前ってホテルスマイルじゃない?ですか?」




…違うな…ホテルマイルⅡだ2号店のほう…つーか名前がまず違うし。




「やらかしました…」


絶望に次ぐ絶望で両手ついて頭が床にめり込んでるわ…





しゃーないからとりあえずあったかいお茶でも淹れるか…








………………………………………………………





「とりあえず元気出せ。もう泣くなって…」



うぅ…ひっぐ…この分じゃ店にも帰れないな。けど大丈夫か…




「ほら、お茶だ。ゆっくりでいいからな?火傷すんな?」




「あ…ありがどうございまず〜ズズー」


まぁおちつくまで待つか…





…さて落ち着いたは良いがこいつ…寝たぞ。




なんか携帯がさっきから鳴りっぱなしだが、厄介ごとには耳を塞ぐたちでな…俺も疲れたし今日はもう寝るか…



こいつがベッド占領してやがるから俺はソファだがなぁ?





…翌朝。



「申し訳ございませんでした。そして、クビになりました。どうしたらいいですか?」




…朝からこれだ。まず昨日の謝罪とこれからの相談を一気に言ってきやがるな。眠い…





「とりあえずコーヒーでも淹れるか。チェックアウトにはまだ時間あるし。ミルクとシロップいるか?」



「あーあたしブラックで…今はちょっとセンチな気分で。あれば甘いのも一緒に欲しいです。コーヒーブラックじゃ飲めないんで…」




…こいつの言ってる事が最初から最後までわかんなかった。




「ほら、熱いからな?あと八つ橋ならあるぞ。」



「ありがとうございます〜ズズー…苦っ」




なら飲むなよ…





…………………………………………………………





「でだ。クビになったのは仕方ない。仕事探せ。なんとかなるさ。な?」



「ならないんですよー…うぅ」



とりあえずあらかた身支度整えてホテルのチェックアウトまでの時間を人生相談へと移行。




「わたし、【ノーズ】なんです。」



…なるほど。



「高校出て、親から一人前だぁって言われて戸籍外されて、土木関係のお仕事してたんですけど、同年代の同じノーズの男の子から力持ち過ぎて気持ち悪いってハブられて…お仕事耐えられなくなって辞めて、途方に暮れてたら女の子なら私でも働けるのがここしかなくて…でも出来なかったですね…はは…ははは。」



駄目だ…目がどんどん死んでいってる。



「落ち着け…ちょっと冷静になれ。それで今からはどうしようもない感じだな?」



…返事も出来ずに俯くだけだ…まぁそぅだろうな。







…俺もノーズだった。気持ちはわかる。

働いてる時も同じノーズにハブられたやつ庇って、買わんでもいい厄介事を買って。

最後にゃその庇ったやつにまで掌返されて、裏切られて。


その後全員ボコボコにして、踵落としでフィニッシュ決めたがな。




しかし、親にまで見捨てられるたぁいったい?




「あんた、出身は?訛ってるからこっちの人間じゃねぇだろ?俺もだが。」




へっ?っと一瞬何を言われたかわからない顔をして。



「えっと…よく気づきましたね。めちゃくちゃ気を遣って隠してたのに…実家の事は忘れたいんですが…」




「嫌ならいい…不躾ですまんな。」



「いえ…あの、結構名の知れた家柄でして、あんまり吹聴されると私消されちゃうんですけど…」



おいおい…物騒極まりないな…




「高千穂…です。」



何?


「おい、まさか宮崎の…か?」



「はい、戸籍は外されましたが、姓は外さなくていいと言われたので…」



高千穂。高千穂八十八社の総本山。高千穂神社の血筋




「あっ、あと舞もちょっとならいけますw」



いや、それもすごいが…



「高千穂 六花か?」


えっ?…と驚いたように溢す。



「いや、すまん七葉の方だったか?しかし、年は確か…」



「合ってます。六花…今は名落ちをしちゃったので、落花(りっか)ですけど…歳も二十歳です。」



まじかよ名前まで変えられてんのかよ…なんか腹立ってきたな…



「あーなるほど、会うのはこれが初めてだが。俺はあんたを知ってるな。いや、知ってたが正しいか。」





…俺一回死んでるもんな。





「俺は神藤 龍一、あんたの許嫁だった男だな?」



はい?…って顔してんな。


まぁ無理ないな。俺んとこのじいさんの孫である俺と…あんたんとこの婆さんの孫であるあんたには顔合わせ前からの取り決めで許嫁として早くから決まってたらしいし…




…まぁ俺がノーズとわかるや否やそっちの方が激怒して取り下げてきたがな?



まさかあんたもノーズとは…こりゃまた神様はいねぇな。まったく




…えぇっと。と頭が追いついてない彼女《高千穂 落花(たかちほ りっか)》は苦し紛れのカウンター。



「ふっ…不束者ですが、誠心誠意頑張りますので!よろしくお願い致します。」




…とまたもやよろしくされちゃうんだなぁ…とどこか遠くを見つめる俺と。



五体投地で頭を下げる彼女の様子がしばらく続いた…

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