浮遊船2
「さてと、少し船の案内でもしようか」
仕切り直すように手を叩いた後、クルトはいつもの調子でそう言い放った。
「まあ、この船がどうなってるのか全然知らないしな」
「探検だね! 私好きだよ、こうゆうの」
「お、二人とも乗り気でいいねぇ! よーし俺について来い!」
意気揚々とした様子でクルトは階段の方へ向かい、俺達を手招いた。
『団長というよりお調子者だな』
「言わないでやれよ」
「え? 今なんて? 俺がお調子者だって?」
「言ってない言ってない、そんな事より早く行こうぜ? 団長さんよ」
お調子者、の一言で振り返り、こちらに詰め寄って来たクルトを宥め、船の案内をするように頼み、ユリアの手を取った。
「え、ライル?」
「どうした? 何か変な事でもあったか?」
「えっと……どうして私の手を……?」
「え? なんかボーッとしてたし、これならはぐれないだろうし」
「え? あぁ、うん……そうだよね、私ってすぐはぐれちゃうしね!」
ユリアは頰を少し赤らめ、あたふたした後小さく肩を落とし、俺の手を握り返した。
『お前ほんと分かってねえなぁ……』
「だから……」
「言わないで」
『おうおう、分かった分かった』
ユリアが魔剣を睨むようにこちらを向いたあと、急かすように俺の手を引いた。
「ほら、早く行こう?」
「おう、足元に気を付けろよ?」
彼女が転んでも受け止められるように気を配り、階段をゆっくりと登ると、ランプの灯りで照らされた少し薄暗い部屋に慣れた目に太陽の光が差し込み、僅かに目が痛んだ。
「うわ眩し……目が痛えよ……」
目の奥を貫かれるような痛みに目元を押さえ、痛みが和らぐと、今まで見た事のない景色が広がっていた。
「……こいつは……」
「この街ってこんなに広いんだね」
「ここの街を唯一見下ろせるのがこの船さ、どうだい? 割といい景色だろ?」
クルトの言うように、この浮遊船以外に同じ景色を眺められそうな建物も無く、真上を見上げると、建物に囲まれた狭い空ではなく、際限なく広がる青空があった。




