中継都市2
「中継都市ってのもあって、色々入って来るんだな」
「ここより大きい商業都市や聖都になるともっと色々入って来るし、そこらじゃ見かけないものも売ってるぜ」
「そうなの?」
「そりゃあもう、見てて飽きないと思うぜ?」
「色んなものって……例えば?」
「そうだな〜……」
クルトは考え込むように少し唸った後、思い出したように手を叩き、声を上げた。
「食い物に服、武器や道具……あと宝石に他にも沢山だな」
「他にもまだあるの?」
「あるにはあるんだが……」
首を捻り、後ろを向くと、そう言い淀んだクルトと目が合った。
それ以上言うべきか、という顔のクルトに対し、俺は小さく二回首を横に振った。
「あー、なるべく聞かれた事には答えてやりたいんだが、どうやら君の護衛君はそれが嫌らしい」
「もう! 何でダメなのさ?」
「……前見ろ、嫌でも分かるから」
そう言って前に向き直り、前を向くよう促すと、その視線の先には、大きな檻に詰め込まれ、手足と首に枷を嵌められ、粗末な麻の服を着せられた者達の姿があった。
「……あれって……」
「奴隷商人だな、ああやって奴隷を売り捌いて金を稼いでるのさ」
「でも、あの人達は……」
「もちろん、彼らにだって元々の生活があったさ、ただ、略奪、不作による飢饉、それだけじゃない。 まあ色んな理由があってそうなった奴らだよ」
さも当たり前の事を話すようにクルトはそう答え、息をついた。
檻を引く牛に、上から鞭を打つ奴隷商の顔は醜く、目も当てられないものだった。
「なんで、誰も何も言わないの?」
「そりゃあ……家畜同然の相手に情なんて抱く奴はいないだろうさ」
「だから知らなくていいって言ったんだよ」
そう言って振り向くと、ユリアが悲しげな顔でこちらを見つめていた。
「そんな顔したってダメだって。 今回は尚更だよ」
「でも……」
「無責任にあれもこれも手を差し伸べようとするなよ。 お前一人で救える人間なんてたかが知れてるんだよ」
そう言って馬の進路を変え、人混みから少し離れ、別の道を進んだ。
「まあまあ、何も悪いことばっかりって訳じゃないさ、彼らを買っていく人間が必ずしも悪人って訳じゃないしさ」
「どうゆう事?」
「買った後の奴隷の扱いは買った奴が好きに決められる。 奴隷だからって必ずしもそうやって虐げるような扱いをする奴だけって訳じゃないのさ。 だからそんなに気を落とすなって」
それからしばらく経たずに、俺達は浮遊船の近くに到着した。
「近くで見てみると結構でかいな」
「大きいね〜」
「だろ〜? 俺の自慢の船だぜ」
すぐ近くまで来てみると、遠くから見た時のそれと違い、圧倒されるものがあった。
「で、それはいいんだけどさ」
「ん? 何か気になることでもあったか?」
「いや、まぁ聞きたい事も沢山あるんだけどさ」
「おう」
「どうやってあの船まで乗り込むんだ?」
浮遊船は近くにある建物よりも高く、その上に浮かんでいた。
辺りに階段や梯子のようなものもなく、船に乗り込む手段は見た限り何もなかった。
「あぁ、ちょいと待ってな、今準備するから」
そう言ってクルトはポーチから掌ほどの大きさの半透明な石を取り出した。
「何だその石?」
「魔石だよ、仕組みは俺もよく知らん まあとりあえずじっとしてな」
クルトが魔石を握ると、それは強く輝いた後、大きな魔法陣を展開し、辺りが光に包まれた。




