魔女の元へ
痛む肩の痛みを和らげるために肩に手を添え、ぐるぐると回し、少し引き延ばす。加えて体にも捻りを加えて引き延ばす。
節々が少し痛むような感じがしたが、心地よさの方が強かった。
「さてと、あいつに持ってってやる飯作らないとな。」
そんな事を呟いているとすぐ屋敷の玄関口に辿り着いた。古くなり、重く軋む扉を両手で開け放ち、そのまま広間を抜け、厨房へ向かう。
「さてと、何作るかねぇ。」
辺りを見渡すと無造作に置かれたパンと吊るされたベーコンが目に入った。
「サンドみたいのでいいか、あと卵と野菜持ってくるかねぇ……。」
厨房下の食料庫から卵と野菜を取り出して戻り、調理用の水を鍋で汲み取り、そこに野菜を浸す。続いて火打ち石をと黄鉄鉱を取り出し、火口に火花を移し、それを消さないように慎重に運び、炉に火を灯す。
吊るされたベーコンを降ろし、鼻歌交じりに必要な分をナイフで切り分け、それを薄切りにスライスする。その後にパンと野菜も同じように手頃な大きさに切り分け、フライパンにベーコンを敷き、炉の上に乗せる。
ベーコンの油が熱せられ、香辛料の効いた香りが漂う。そこにすかさず卵を割り、ベーコンの上に落とすと、ジュワーっと音を立て、卵がベーコンに絡むように固まっていった。
「ん〜♪ いい感じかなぁ?」
フライパンの上で香ばしく香るそれに岩塩を一つまみ、振りかける。そしてこれと同じようなものを四つほどつくり、それらを野菜と共にパンに挟み込む。
「まあ一丁上がりかな? 本音を言えば香辛料も使いたかったけど、あれは普段使いすると怒られるしなぁ……。」
出来上がったベーコンエッグと野菜のサンドを、清潔な布を敷いたラタンのバッグに敷き詰める。最後に、煮沸した水と葡萄酒をそれぞれ二つ用意した革の水筒に流し込む。
「さーて、昼休みつぶしに行くか。」
バッグと水筒を持ち、俺は厨房を後にした。




