見えざる声 2
「っ痛⁉︎」
「……何をしている? 荷物は運び終わった、私はお前に魔女の世話をしに行けと指示を出した筈だ、こんな所で何をしている?」
顔を見上げると、執事長が今まで見せた事のないような顔でこちらを見下ろしていた。
「……この中に納められた魔剣は魂を喰らうと言った筈だ。」
「…違うんです、俺はそんなつもりじゃ……。」
そう返した時、執事長はこちらではなく、箱を睨みつけていた。
『チッ、邪魔が入ったか、まあいい、気が向いたらまたここに来な。今の持ち主よりはお前の方が見込みがありそうだしな。』
そう言い残すと、声と共に纏わりつくような違和感が薄れていった。
「……何故箱を開けようとした?」
執事長の声音には普段見せない怒気が籠っていた。
「……妙な声が……聞こえたんですよ…自分でも何が起きてるのかよくわからなくって…。自分の意思で体が動かさなかったんですよ。」
「何を吹き込まれた?」
「お前の願いを叶えてやる、だから箱から出してくれって、そう聞こえました。」
そう答えると執事長はしばらく箱を睨み、溜息を吐いてからこちらを見た。
「嘘はついていないようだな、まあいい、この箱にはもう近付くな、次はない。」
「……はい、気をつけます……。」
執事長に促され、足早に倉庫を後にした。執事長に引き倒された時にぶつけたらしく、ずきずきとした鈍い痛みが肩に残っていた。




