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『聖女モモ・ルーと冥界の女神』第三部 天界編   作者: Toru


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第二章 神々の長の真実 第二話 ヴァルキリー急襲

「これが天界?

…こんな物のために、私達人間は犠牲になっていたの?」


モモ・ルーが震える


「人間だけじゃない、

魔族も魔物も魔獣も皆、

神々の長の理想の世界を創るための犠牲者なんだ」


エンプーサは拳を握りしめる


「奴を、このままにしてはならない…モモ・ルー、エンプーサ、神々の長を探し出すぞ」


ヘカテーが静かにそう言い、

三人は、黄金に輝く都で神々の長を探し始めた。



そのときだった。


キィン……

耳鳴りのような高い音が、天界全土に響き渡る。


「…何だ?」


エンプーサは、刀を抜いた。

二振りの刃が、天界の光を反射して黒く輝く。


「何かが…来る」


ヘカテーがわずかに身構えた瞬間――

天界の白い大地に、一本の影が落ちた。


影など存在しないはずの天界に、

“影”が落ちた。


「……影……?」


モモ・ルーが息を呑む。


影の主は、ゆっくりと姿を現した。


黄金の髪。

白い肌。

整いすぎた顔立ち。

そして、天界の光を反射する銀の鎧。


天界の戦士――ヴァルキリー。


だがその瞳は、天使のものではなかった。

冷たく、感情の欠片もなく、ただ命令だけを宿した瞳。



「冥界の女神ヘカテー様、

神々の長の命により、お命を頂戴します。」


「ヴァルキリー…いや黒魔導士と呼んだ方が良いか?」


エンプーサがヘカテーの前に飛び出る。


「お前がヴァルキリーか!」


一気に怒りが頂点に達するエンプーサ


「モルモーの仇!」


「モルモー?あぁ…あの女か。

夢魔のくせに、『神の力』など持つからだ。

私は『危険物』を処分したまでだ」


「危険物だと!」


怒りに震えるエンプーサが、斬撃を繰り出す。


ザシュッ!ギィン!


ヴァルキリーはミスリル鋼で作られた剣で、軽々と斬撃を弾き返した。


「…誰だお前は、

邪魔をするとお前から殺すぞ」


「できるものなら、やってみろ!」


エンプーサがヴァルキリーに向かってゆく


「エンプーサさん!」


モモ・ルーも戦闘に加わろうとしたが…


「来るな!」


それを止めたのはエンプーサだった。


「モモ・ルー、お前は神々の長を探せ!」


「でも…」


「コイツは…

コイツだけは私が殺す!」


エンプーサがヴァルキリーに向って刃を振る


キン!ギィン!


ヴァルキリーはエンプーサの刀を受け流し、返す刀でエンプーサの首を狙う。


ガギッ!


二本の刀でヴァルキリーの剣を受け止めるエンプーサ


「行けっモモ・ルー!

その目で真実を確かめて来い!」


「…はいっ!」


モモ・ルーとヘカテーが神殿に向かって走り出す。


「エンプーサさん、絶対…死なないで下さいね!」


エンプーサの背中に向かって叫び、モモ・ルーは神殿へと入っていった。


ギャリンッ!

ヴァルキリーが距離を取る


「…ミスリルの剣を受け止める夢魔がいるとは思わなかった」


「私を見くびると、後悔するぞ」


「なるほど…では全力を出すとしよう」


ヴァルキリーが剣を構える。

ミスリル鋼の刃が、天界の光を吸い込むように輝く。


「夢魔。…お前から殺してやろう。」


「やってみろ……神の犬が。」


エンプーサが地を蹴った。


ギィンッ!!


刃と刃がぶつかり合い、天界の白い大地に火花が散る。


ヴァルキリーとエンプーサ、戦士同士の死闘が始まった。


第二話 ヴァルキリー急襲 おわり


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