表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『聖女モモ・ルーと冥界の女神』第三部 天界編   作者: Toru


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
5/9

第二章 神々の長の真実 第一話 完成された美しさ

モモ・ルー達は刈り取り装置の奥へ進み、

天界の門を越えた。


その瞬間、世界が変わった。


天界は、美しすぎた。


光は均一で、影が存在しない。

どこを見ても同じ明るさで、

光源がどこにも見当たらない。


風は吹いているのに、草木は揺れない。

モモ・ルーの髪だけがそよぐのに、

足元の花は一輪たりとも動かない。


「……風が、花に触れていない?」


花の香りは一切しない。

吸い込んだ空気はあまりにも無味無臭で、肺に凍りつくように冷たい。


雲は空に浮かんでいるが、

一切動かない。

まるで絵画のように固定されている。


泉の水面は鏡のように静まり返り、

モモ・ルーが指を触れても、波紋が広がらない。


「水が…動いていない」


天使たちは美しい。

だが、全員が同じ顔をしていた。

同じ目の形、同じ鼻筋、同じ口元。

歩幅も速度も呼吸も、すべてが同じ。


「……人形みたい……」


音は響かない。

足音は吸い込まれ、

声は反響せず、

天界の空気は揺らぎを拒絶している。


「……この世界は、時間が止まっているみたい」


美しいのに、息ができない。

綺麗なのに、胸が痛む。


天界は――

生命の揺らぎを嫌う世界だった。



「……ここが……天界……?」


モモ・ルーは息を呑んだ。


美しい。

美しすぎる。

だが――


「……まるで生きている感じがしない。」


その言葉は、彼女の口から自然に漏れた。


ヘカテーが静かに頷く。


「神々の長は、完璧な完成された美しさを創造しようとした。

だから変化するのを嫌う…

生命の揺らぎを嫌う…」


「変化しないなんて、『死』と同じじゃないか!」


エンプーサが震える。


「そう…

そして、この恐ろしい程の美しさは、

その全てが人間族、魔族、魔物達、全ての犠牲のもとに造られたものだ。」


第一話 完成された美しさ おわり



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ