第一章 天界の門の真実 第三話 白銀の天使
「何故だ…反応が無い」
ヴァルキリーは巨大な天界の門の全体が見渡せるよう、かなり離れたところにいた。
ヘカテー達が門に侵入してくるのを監視するためだ。
「聖女ならば、あの装置を放って置けない筈だが…」
ヴァルキリーは、聖女が装置を停止させるため破壊するだろうと、魔物達の地獄ともいえる刈り取り装置を、わざとヘカテー達に晒したのだ。
装置が破壊されれば、侵入場所が特定され、そのブロックごと爆破する算段だった。
「刈り取り装置で抽出したエネルギーを、そのまま爆破に転用すれば、いかにヘカテー様と言えど無事では済むまい。
ましてや聖女や夢魔など塵と消える筈…」
冥界の女神の力は強大だ。
神殺しを成すには、相当なダメージを与えなければならない。
ヴァルキリーは、天界の門の一部を破壊してでも、神々の長の命令を全うしようとしていた。
しかし、
ヘカテーがモモ・ルーに装置の破壊を思い留まらせたお陰で、ヴァルキリーの計画は徒労に終わる。
「…どうやら一筋縄ではいかない連中の様だ」
暫く静観していヴァルキリーだったが…
ヴァルキリーは計画を諦め、
愛用のミスリル鋼で造られた剣と盾と鎧を身に着ける。
直接ヘカテーの命を奪うつもりだ。
そして、
ヘカテー達を探すため、
天界の住人の証である純白の羽を広げ、
ヴァルキリーは、門へと飛び立っていった。
その姿だけを見れば、まるで空駆ける白銀の天使の様だった。
第三部 天界編 第一章 天界の門の真実 おわり




